たとえば、「子供が貯金箱を振って音がした」→「中身がある」というような推論が自然にできるが、これは常識に基づく推論である。
提唱者
Doug Lenat（引用）https://www.onthisday.com/people/douglas-lenat
Henry Lieberman（引用）https://web.media.mit.edu/~lieber/
厳密な「提唱者」はいないが、人工知能（AI）研究の初期から重要テーマとして扱われてきた。
「人間のような感覚常識を機械に持たせるにはどうすればよいか」という問いに対し、Doug LenatのCycプロジェクト（人工知能へのアプローチのひとつ。 1984年からスタートした、一般常識をデータベース化し、人間と同等の推論システムを構築するプロジェクト）や、MITマスラボのHenry Liebermanらの研究が先駆的な役割を果たしている。
デザインにおける利用法と具体的事例
① インターフェースデザイン
活用：視覚的文脈や配置で「このタブは設定だ」と直感させることができる。
事例：歯車アイコン＝設定、ゴミ箱アイコン＝削除など常識的記号を活用。
② UXライティング・ガイダンス
活用：ユーザーの暗黙の期待に沿った文言設計。
事例：「アプリが固まる」ではなく「応答が遅れています」と書くことで、常識的な期待を裏切らず混乱を防ぐ。
③ ユーザーフロー設計
活用：ユーザーが取るであろう行動シナリオを先回りして設計。
事例：購入ボタン後に「続けて支払い情報を入力する」のが自然、次のフローに導く設計が効果的。
具体シーン
場面：チャットボットの応答設計
- 不使用時：「こんにちは！何かお困りですか？」とだけ表示
- 常識推論活用時：ユーザーが「助けて」とだけ入力した場合、「状況をもう少し詳しく教えてください」等の常識的誘導が可能となる。
デザイン観点でのチェックポイント
- 暗黙的期待を設計に組み込む：人が自然に連想する要素を意図的に取り入れる。
- 常識と文化差への注意：文化や属性によって常識は異なるため、グローバルUXでは対象文化への配慮が必要。
- 間違った常識への配慮：ユーザーによっては誤った常識を持つことがあるため、柔軟性やエラーハンドリングも必須。
常識推論を設計に取り入れることで、ユーザーにとって自然で使いやすい体験を構築できる。暗黙の常識を尊重しつつ、文化的偏りにも配慮したプロダクト設計を目指すことが重要であるである。
