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CAGR(Compound Annual Growth Rate)

年ごとのぶれをならし、成長の速さを1つの年率で比べるための指標

CAGR(Compound Annual Growth Rate)とは、年ごとに上下する成長を1つの年率に置き換えることで、期間の長さも業種も異なる対象を同じ物差しで比べられるようにする指標である。日本語では年平均成長率と呼ぶ。成長率を表す指標には、年ごとの伸び率をそのまま平均するAAGR(平均年間成長率)や、月単位で同じ考え方を使うCMGR(複合月間成長率)もあり、CAGRはそのうち複利の効果を織り込んだものにあたる。

たとえば、売上2000万円だった事業が5年後に3250万円になったとする。途中で落ち込んだ年があってもなくても、CAGRで表せば「年10.2%」という1つの数値にまとまる。

でこぼこを1つの年率にならす

CAGRの有用性は、年ごとの伸び率を単純平均するAAGR(平均年間成長率)と比較すると明確になる。 たとえば、1年目に50%下落し、2年目に100%上昇した投資を考える。単純平均(AAGR)では $(-50\% + 100\%) \div 2$ で「年25%成長」となってしまうが、実際の資産は元の水準に戻っただけで1円も増えていない。 このようにCAGRが実態を正しく表せるのは、途中の値動きに影響されず、「開始時点の値」「終了時点の値」「経過年数」の3つから実際の成長率(複利)を算出するためである。

語源・提唱者

CAGRには、特定の提唱者も、はじめて世に出した論文もない。投資業界が、複利計算という古くからある考え方を成長率の比較に転用するなかで定着させた指標である。

背景にあったのは、投資ファンドの成績を並べても優劣を判断できないという実務上の行き詰まりだった。あるファンドは初年度に大きく値下がりして翌年に急回復し、別のファンドは毎年ゆるやかに伸びる。年ごとのリターンを単純に平均すると、乱高下した前者のほうが好成績に見えてしまう。ファンドマネージャーも投資家も、変動の大きい商品を評価するたびにこの問題へ突き当たっていた。

そこで使われるようになったのが、期間全体の倍率を「毎年この率で複利成長したとすれば何%か」という1つの年率へ圧縮する計算である。狙いは、変動の中身をいったん脇に置いて、期間の異なる商品どうしを同じ単位で並べられるようにすることにあった。

投資ファンドの比較から始まったこの指標が業種を越えて広がったのは、年ごとのぶれを抑えて成長のペースを一言で言い表せるという性質が、投資に固有のものではなかったからである。売上も、利用者数も、市場規模も、年によって伸び方は波打つ。「結局どれくらいの速さで伸びているのか」を1つの数値で示したい場面はどこにでもあり、CAGRはそのまま持ち込めた。いまでは決算資料・事業計画書・市場調査レポートが、投資分析の枠を越えてこの年率を載せている。

期間が違う相手を同じ土俵に載せる

CAGRを使わないと、成長の速さを比べる作業そのものが成り立たない。

「3年で1.9倍になった事業」と「5年で2.4倍になった事業」を並べても、どちらが速いのかは倍率を見ただけでは分からない。期間が違えば、同じ倍率でも意味が変わるからである。年率に合わせると、前者が年24%、後者が年19%となり、前者のほうが成長が速いと読み取れる。

同じ単位に揃うことの意味は、立場によって変わる。

  • 投資家:投資期間も資産クラスも異なる投資先を、1つの表に並べて優先順位を付けられる
  • 経営者や事業責任者:単年の good / bad に振り回されず、複数年の傾向として自社の伸びを語れる
  • アナリストやコンサルタント:業界平均や競合と自社を、同じ尺度で突き合わせられる

ただし、揃えられるのは速さだけである。CAGRは期間内の変動そのものを消すため、リスクや値動きの激しさを判断する材料にはならない。

始点と終点の2つだけで求まる

計算に必要なのは、開始時点の値、終了時点の値、その間の年数の3つだけである。

  • 終了時点の値を開始時点の値で割る:期間全体で何倍になったかを出す
  • その倍率を「1÷年数」乗する:複数年ぶんの倍率を、1年あたりの倍率に分解する
  • 結果から1を引く:1年あたりの成長率として読める形にする

年ごとの推移データがなくても、両端の数値さえあれば出せる。この手軽さが、この指標を広く使わせている。

裏を返せば、途中の年に何が起きたかという情報は結果に残らない。CAGRだけを見て「毎年このペースで伸びてきた」と読むのは誤りである。年ごとの動きを知りたいときは、前年同期比(YoY)や、月単位で見るCMGRを併せて確認する。

他社が出した成長率を鵜呑みにしない

実務でCAGRがいちばん効くのは、自分で計算する場面よりも、他者が提示した年率を評価する場面である。

市場調査レポートの「この市場は年24%で成長する」、投資検討先の「過去5年のCAGRは38%」といった数字は、事業計画や投資判断の前提として持ち込まれる。工程としては、企画や投資検討の初期、市場規模を見積もって進むか止まるかを決める段階にあたる。ここを財務・経営企画の担当者だけに任せず、事業責任者が一緒に数字の作られ方まで見に行くと、前提の甘さが早い段階で見つかる。

アウトプットとして残すべきなのは、年率そのものではなく、年率と、その根拠になった開始値・終了値・期間である。この4つが揃った形で資料に残っていれば、後から誰でも同じ計算を再現でき、前提が変わったときにも作り直せる。

ありがちなつまずきは3つある。

  • 将来の予測値として扱う:CAGRは過去の実績を1つの年率にまとめた事後的な数値にすぎない。過去が続く保証はないので、そのまま来期の計画値に据えない
  • 期間の切り取りに気づかない:開始年をどこに置くかで年率は大きく動く。不調な年を起点にすれば数字は良く見えるため、期間の取り方を必ず確認する
  • お金の出入りを見落とす:期間中に追加出資や引き出しがあっても、CAGRの計算には反映されない。実際のキャッシュフローは別に確かめる

なお、CAGRの水準が「良い」かどうかに万能の基準はない。成熟した業種では年3〜10%、成長段階の企業では20〜60%、初期のスタートアップでは50%を超えることも珍しくない、とされる。業種と段階を揃えずに数値だけを比べても意味を持たない。

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BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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