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バイソシエーション bisociation

普段は結びつかない二つの考え方で一つの事柄を同時に捉えること

ぶどうを搾る圧搾機と、紙などに印を残す印章。一見すると関係のない二つの技術だが、これらを結びつけると、どのようなものが生まれるだろうか。

Arthurアーサー Koestlerケストラーは、この二つの技術が結びついて活版印刷機が生まれたという例を挙げた。

このように、普段は結びつかない二つの考え方や技能を通して、一つの事柄を同時に捉えることを「バイソシエーション」という。それぞれの分野で独立して成立している考え方が交わることで、新しい発見や発想が生まれる仕組みを説明する概念である。

印章とぶどうを搾る技術が結びつく

ケストラー氏が引用した書簡によれば、グーテンベルクは当初、木版にインクを塗り、紙を載せて擦る方法で本全体を印刷しようとしていた。しかし、文字を硬貨や印章のような形に作っても、擦って写す方法では、きれいに印刷できなかったという。

その書簡には、グーテンベルクがぶどうの収穫に加わり、圧搾機の力を調べたことが記されている。

ケストラー氏の説明では、ぶどうを搾る圧搾機の仕組みを、紙などに印を押しつける技術と結びつけたことで、活版印刷機が生まれた。

ここで重要なのは、印刷方法を改良するために、印刷とは別の分野で使われていた技術を持ち込んだことである。

印刷の方法だけを考えていても解決できなかった問題に、ぶどうを搾る技術が新しい解決の手がかりを与えた。

ケストラー氏は、一つの分野の中で考えを組み合わせることと、異なる二つの分野の考え方が交わることを区別した。後者がバイソシエーションである。

ただし、グーテンベルクが実際にこのような方法で印刷機を発明したかどうかは確認されていない。

語源・提唱者

バイソシエーションは、ケストラー氏が1964年刊の『The Act of Creation』で用いた造語である。

一つの考え方の中で進む日常的な思考と、異なる二つの考え方を同時に働かせる創造的な思考を区別するために作られた。

ケストラー氏は、新しい発見だけでなく、ユーモアや芸術にも、それまで気づかなかったつながりを見いだすという共通点があると考えた。

同じ出来事が笑いにも悲しみにもなる

バイソシエーションは、新しい発明や発見だけを説明する概念ではない。

ケストラー氏によれば、二つの考え方が結びつけば新しい発見につながり、食い違いが際立てば笑いが生まれる。また、二つの見方をどちらか一方にまとめずに保つことで、芸術を味わう経験にもつながる。

その例が、ドン・キホーテである。

ドン・キホーテの物語では、本人は風車を巨人だと思い込み、戦いを挑む。しかし、読者には、それが風車であると分かっている。

読者が現実と本人の思い込みの食い違いに注目すれば、ドン・キホーテは滑稽な人物に見える。一方、本人が信じている世界と現実の両方を捉え、その人物に共感すれば、悲劇的な人物にも見えてくる。

同じ出来事でも、二つの見方をどう受け止めるかによって、笑いにも悲しみにもなるのである。

ケストラー氏は、臨床家であれば、こうした二つの見方を診断としてまとめて捉えることもできると説明している。

つまり、バイソシエーションは、異なる考え方を結びつけて新しいものを生み出すだけでなく、一つの出来事に複数の意味を見いだすことにも関わっている。

異なる分野に目を向けると新しい発想が生まれる

新しいアイデアを考えるとき、目の前の課題と同じ分野だけで解決方法を探していては、思いつく方法が限られることがある。まったく別の分野で使われている仕組みが、解決のヒントになる場合もある。

その例が、アフリカのシロアリの巣をヒントに設計されたジンバブエの建築物「イーストゲート・センター」である。

建築家のMickミック Pearceピアースは、大きな建物の室温を管理する際、従来の大規模な空調設備に頼らない方法を考えていた。

そこで着目したのが、シロアリの巣である。シロアリの巣には、内部の空気を動かす仕組みがある。

ピアース氏は、この仕組みから着想を得て、空気の通り道や建物に蓄えられる熱を利用する設計を考えた。こうして、従来型の大規模な空調設備を使わずに室温を管理する建物が実現した。

ただし、この建物がシロアリの巣の仕組みをそのまま再現したわけではない。実際には送風機も使用しており、シロアリの巣が空気を動かす仕組みについても、その後の研究で理解が変わっている。

重要なのは、建物の空調を考える際に、建築とは異なる生物の仕組みを取り入れたことである。これが新しい設計の発想につながった。

このように、異なる分野にある考え方を一つの課題に重ねることは、バイソシエーションの考え方に通じる。

新しい発想が良いアイデアとは限らない

異なる分野の考え方を組み合わせることで、これまでになかったアイデアが生まれることがある。しかし、新しいというだけで、そのアイデアが課題の解決に役立つとは限らない。

ある研究では、異なる社会課題について投稿された数千件のアイデアを分析し、別々のテーマを結びつけることで、新しい発想を生み出せるかを検証した。

研究では、計算機を使って異なるテーマのつながりを示す話題を探し、その話題や、そこから着想を得たアイデアを人に評価してもらった。

その結果、つながりを示す話題も、そこから着想を得たアイデアも、比較対象より目新しいと評価される傾向があった。一方で、アイデアの質が必ずしも高くなるわけではなかった。

また、異なるテーマのつながりが見つかっても、そこから課題に役立つアイデアが自動的に生まれるわけではない。研究でも、発見されたつながりを新しいアイデアに変えるには、人の創造的な想像力が必要だと指摘している。

異なる分野に目を向けることは、新しい発想を生み出すきっかけになる。しかし、その発想を実際の課題に役立つアイデアへと発展させるには、さらに創造力が必要なのである。

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BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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