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ホットハンド現象 Hot Hand

成功が続くと次も成功しやすいと考える傾向

ホットハンド現象とは、成功を続けたとき、普段の平均より成功しやすい状態が続くと捉えられる現象である。

バスケットボールで、続けてシュートを決めた選手に、次もボールを回したいと考える場面がある。NBAのフィラデルフィア・セブンティシクサーズの選手たちは、直前のシュートを決めた後は、外した後より約25%決まりやすいと見積もっていた。また、全員が、続けてシュートを決めている選手にボールを回すことが大切だと考えていた。

次も成功するという期待が生まれるのイメージ

次も成功するという期待が生まれる

セブンティシクサーズの選手たちは、シュートが続けて決まるのを見て、次も決まりやすいと期待し、誰にボールを回すかを判断していた。ただし、次も成功するという期待と、実際に成功しやすくなることは、分けて考える必要がある。

研究の要約では、成功と失敗が混ざった並びより、成功が続く並びのほうが記憶に残りやすいことが、ホットハンドを信じる一因として挙げられている。また、人は出来事がまとまって起きると規則性や理由を探し、そのような連続が偶然にも起きることを受け入れにくいと説明されている。成功の連続が記憶に残り、その連続に理由を見いだそうとすることが、期待の背景として挙げられているのである。

語源・提唱者

1985年、Thomasトーマス Gilovichギロビッチ、Robertロバート Valloneヴァローネ、Amosエイモス Tverskyトヴェルスキーは、セブンティシクサーズの選手に話を聞き、選手ごとのシュート記録を調べた。その記録では、選手はシュートを決めた後も外した後も、同じくらいの確率で得点していた。

トーマス・ギロビッチ
トーマス・ギロビッチ(出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Gilovich)

3人は、コーネル大学の選手26人にシュートを打たせ、連続して決めた後に成功率が上がるかを調べる実験も行った。一連の研究では、調子がよいという感覚からは、次のシュートが決まるか外れるかを予測できないと結論づけた。

この結論から、研究者らはホットハンドへの信念を、多くの人が共有する思い違いと位置づけた。その信念を誤りと捉える呼び方が、ホットハンドの誤謬である。ただし、後の研究者がデータを分析し直すと、この結論は見直されることになった。

数え方を直すと結論が変わった

当初のセブンティシクサーズの分析では、成功率50%の典型的な選手は、3本続けて決めた直後も、3本続けて外した直後も、成功率が50%だった。選手たちが期待したような、成功の連続後の上昇は見られなかった。

ところが2018年、Joshuaジョシュア MillerミラーとAdamアダム Sanjurjoサンジュルホは、連続の後の結果を数える一般的な方法を検証し、その方法に偏りがあると示した。公平なコインでも、限られた記録から連続の直後の結果だけを集めて表の割合を求めると、計算上見込まれる割合は50%を下回る。そのため、連続後の割合を単純に50%と比べるだけでは、成功しやすさを見誤る場合がある。

数え方を直すと結論が変わったのイメージ

ミラー氏とサンジュルホ氏は、この偏りを直して、コーネル大学の実験データを分析し直した。当初観測された平均4パーセントポイントの差は、成功確率が変わらない選手に計算上見込まれる差より、12パーセントポイント高かった。両氏は、連続成功の証拠が得られたとして、ホットハンドへの信念は思い違いではないと結論づけた。

一方、2013–14年と2014–15年の米国プロバスケットボールの試合では、選手の動きを追ったデータを使ってホットハンドが調べられた。個々の選手にはさまざまな程度のホットハンドが見られたものの、平均的な選手では、連続の後に成功率が平均へ戻る傾向が見られた。成功の連続から次の成功を予測できるかどうかは、選手やデータ、分析方法によって異なる。

投資信託を選ぶときにも現れる

何年も好成績が続いた投資信託は、不振が続いた投資信託より今後も高い成績を出すだろうと考える投資家にも、同じ期待が現れる。出典の教科書では、この考え方を、バスケットボールと同じ、偶然の並びの読み違いとして挙げている。

経済学者のBurtonバートン Malkielマルキールは、1980年以降、毎年、前年の成績が最上位の投資信託を購入した場合の結果を示した。その買い方では、翌年の市場平均には勝てなかった。また、1994年にカナダで上位だった81本の投資信託のうち、翌年も平均を上回ったのは40本で、41本は平均を下回った。これらの結果では、過去の好成績が、その後も平均を上回ることにはつながっていなかった。

投資信託を選ぶときにも現れるのイメージ

実務への作例としては、投資信託を比較する際、過去の好成績と、今後も好成績が続くという予測を分けて検討する。選定理由を確認し、好成績が続いたことだけで将来も有利だと判断している箇所を見直す、という手順である。ただし、この確認手順自体の効果を、出典の研究が測定したわけではない。

関連用語

ギャンブラーの誤謬

BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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