クラック(Crack)は直訳すると「亀裂」である。
新製品や新しいテクノロジーを市場に浸透させていく過程において、ある消費者層から次の層に製品が移行しようとするときに、消費者層それぞれが持つ価値基準や、特性の違いによって生じる市場の差のことをいう。
第1の亀裂:クラック1
クラック1は、イノベーターとアーリーアダプターの間に存在する。
イノベーターは新しいテクノロジーや革新的なイノベーションに興味を持って採用していく。
時に斬新すぎるアイデアは現実的ではない場合があるため、イノベーター以外にはそれをどう使えばよいのかわからないことがある。
クラックを超えてアーリーアダプターに訴求するには、製品やテクノロジーに詳しくない人でも新しいテクノロジーによって実現可能であることを理解できるようにすることが必要である。
第2の亀裂:クラック2
クラック2は、アーリーマジョリティとレイトマジョリティの間に存在する。アーリーマジョリティまで浸透しているこの段階は、市場にテクノロジーは十分に市場に浸透していると言える。
しかし、レイトマジョリティは、アーリーマジョリティよりテクノロジーに弱く、難解な使用方法だと離れてしまう。クラック2移行の段階では、より一般化され使いやすいものになっていなければならない。
市場間の特性の違い
米・マーケティングコンサルタントのGeoffrey・A・Mooreが著書『キャズム(Crossing the Chasm:1991年)』の中で、隣接する各市場間にはそれぞれに亀裂(crack:クラック)が存在していると提唱した。
初期市場形成を行うイノベーターとアーリーアダプター、メインストリーム市場を形成しているアーリーマジョリティ、レイトマジョリティそれぞれの持つ特性は異なっている。
例えば、製品のメリットデメリットを享受できるか、導入例を求めるかどうか、使いやすいかどうかなど。
その違いから隣接しあう市場間に対し、同じマーケティングアピールを行っても、うまく効果が発揮できず製品の普及が次の段階に進めなくなってしまう。
特にアーリーアダプターと、アーリーマジョリティの間を分断しているクラック(亀裂)は最大規模の深さになり、溝となる。この越えがたい溝をキャズムと呼ぶ。
市場から孤立しているラガード
ラガード(懐疑派・保守派)は他の消費者層からは孤立しているため、そもそものマーケティングアプローチが違ってくる。(詳細はラガードを参照)