ITの進歩によって人々の生活スタイルは劇的に変化し、ITを提供する方法や価値も変化した。それは、ネットワークの進化によってプロダクトやサービス単体の提供だけでなく、他の製品やネットワークが繋がることによって提供でき、大きな価値となっている。
生活にITが溶け込んでいることが当たり前の時代で、ITによる生活の変化、生活におけるITの役割の変化をデジタルトランスフォーメーション(略字:DX)という。
ITは、人が生活するうえで切っても切り離せない存在になってきている。朝起きてAlexaなどのスマートスピーカーに話しかければ照明が付き、照明やエアコンが切れているかを外からスマホで確認できる。職場ではG Suiteやkintoneなどのグループウェアを使い、自宅ではFacebookやLINEなどのSNSを使う。
「デジタルトランスフォーメーション」という概念は、2004年にスウェーデンのUmeo Universityの教授であるEric Stoltermanが提唱した。
サービスが連携することで大きな価値を提供
スマートウォッチは、多くのサービスを連携して大きな価値を提供している製品の代表例だ。
普通の腕時計は現在時刻を確認するほか、アラームを設定したり、ストップウォッチとして利用する。腕時計単体でも価値はあるが、現在では腕時計単体で価値を提供するだけでは不十分である。
例えば、Apple Watchでは日常生活の中で以下のことが行える。時間を確認する以外にも使い道がたくさんある。
- 現在時刻の確認
- 買い物の決済
- 音楽の再生
- 心拍数の計測
- 睡眠時間の記録
- 電話
Apple Watchが登場する前であれば、時間を確認するために時計を身につけ、買い物するための現金を用意する必要があり、音楽を聞くためにポータブルプレイヤーを持ち歩くなど、とても荷物が多くなる。
Apple Watchがあれば様々なものを持ち歩かなくても生活を送ることができる。ただし、Apple Watchだけで全ての機能を実現しているわけではない。
買い物をする時はApple Payを用いて電子決済サービス、音楽を再生する時はiTunesやApple Music、心拍数を計測する際には、他社のランニングアプリである「Nike+ Run Club」を用いるなど、他のサービスの利用が必要だ。更に、ランニングアプリの場合は、トレーニングの記録をSNSで友人とシェアすることでモチベーションアップにも他のサービスを利用している。
一つのサービスが単体で価値を提供するのではなく、複数のサービスと連携して大きな価値を提供することができる。複数のサービスや端末が連携できるように変化した理由の一つは、クラウド技術の発展である。端末ごとにデータを管理せずに、クラウドでデータを管理することが主流になり、データを管理が他の端末やサービスからも扱えるため様々なサービスが連携できるようになった。
参考文献
- ストルターマン, エリック・フォーシュ, クルーン, アンナ(2004)「Information Technology and The Good Life」<http://www8.informatik.umu.se/~acroon/Publikationer%20Anna/Stolterman.pdf> 2019年5月22日アクセス