人の脳波や神経の活動・反応を調査し、マーケティングに活用する手法である。
定性調査で一般的なアンケートやグループインタビューは主観的であり、本音の回答を得ることや無自覚な感情を汲み取ることは難しい。そこで、脳の反応や筋肉の動きを通じて計測した定量データから、人の無意識から生じる行動や反応を予測する手法として、ニューロマーケティングが生まれた。
ニューロマーケティングの手法
ニューロマーケティングでは、様々な手法で生体の反応を計測する。
主な測定法には以下がある。
fMRI(磁気共鳴機能画像法)
fMRI(functional magnetic resonance imaging)は、強い磁場を使用して脳全体の血流の変化を追跡する手法である。脳の奥深くまで測定可能だが、煩雑で計測可能時間も数秒間と短い。最も高価な手法で、ラボで実験を行う必要がある。価格設定、ブランディング改善等に用いられる。
EEG(脳波測定)
EEG(Electroencephalogram)は、脳から生じる電気信号を記録する方法である。活動の変化を一瞬で追跡することができるが、発生場所を正確に特定したり、脳皮質下の深い領域では測定が難しいことが特徴。広告・ブランディング改善などで用いられる。
アイトラッキング(視線・瞳孔測定)
アイトラッキングは視線を向けている場所を特定したり、瞳孔が拡張されているかを測定する手法である。比較的安価に行うことができ、無意識的な注意や関心を明らかにするのに長けている。ウェブサイトのデザイン、広告・パッケージの改善に用いられる。
生体認証
皮膚の神経や心拍数、呼吸を測定する手法。アイトラッキング・表情認識など他の手法と組み合わせて利用される。
表情認識
顔の表情を識別する手法。表情を解析することで被験者の感情を推定する。広告効果の計測や改善に向いている。他の手法に比べて比較的安価に実施できる。
活用事例
ニューロマーケティングは、実施費用が高額であるが、ニューロマーケティングを実施して顧客の本音を探ることで、結果的に改善にかかるコストを抑えることができる。
特に、デザインの改善に高額なコストがかかる製品でニューロマーケティングは有効である。
以下に、インタビューなど定例調査で得られた顧客の反応が本音であるかを、生体反応の計測を通して分析し、調査の精度を高めたニューロマーケティングの活用事例2つを紹介する。
事例①:フリトレーのポテトチップスのパッケージデザイン
フリトレー(Frito-Lay)は、パッケージデザイン検証でニューロマーケティングを使用している。ポテトチップスの新製品発売前に、マットなデザインのパッケージとポテトチップ写真のある光沢のあるパッケージを見せて脳の反応を分析した。
結果として、光沢のあるパッケージが否定的な反応を引き起こすことを発見した。詳細なインタビューも合わせて行い、最終的には色、タイピングなどを変更し、光沢のあるフリトレーは終了となった。
事例②:ヒュンダイの車の外観デザイン
ヒュンダイは2011年に新車購入検討者15人名の男女にニューロマーケティング調査を実施している。被験者をEEGマシンに接続しながら、車を眺めてもらい、購入検討に関わる好みや決定要素を調査した。研究の結果、エクステリア(外観)デザインに課題を発見し、デザイン調整を行った。
参考URL
- Neuromarketing: What You Need to Know
- 15 Powerful Examples of Neuromarketing in Action
- Hyundai did a neuromarketing study that had 15 men and women