この現象は、ドイツのゲシュタルト心理学者Kurt Zadek Lewin の「人が目標指向的に行動する時は緊張感が生じ持続するが、目標が達成されると緊張感は解消する」という考えに基づいて、ソビエトの心理学者Bluma Wulfovna Zeigarnik が実験を行い実証されたものである。
ツァイガルニクの心理実験
この現象を実証するため、ツァイガルニクは2つのグループに対して次のような実験を行なった。
グループ1は、最後までタスクを完了して次のタスクへ移行。グループ2は、タスクを途中で中断して次のタスクへ移行。それぞれに複数のタスクを課して、全てのタスクが終わったタイミングで「今やったタスクにはどのようなものがあったか」と質問した。すると、タスクを中断したグループ2の方が、2倍程度のタスクについて回答できるという結果になった。
完了前後におけるタスクの記憶度合い
上記の結果を踏まえ、ツァイガルニク効果について1タスク(事柄)を切り出し図示すると、タスク完了前後の心理状態を説明できる。タスクは、完了前であればその内容が記憶に残りやすいが、それを完了してしまえば徐々に記憶から薄れていく。これは、ある事柄(タスク)に関わる緊張感によって生じる心理現象である。
完了していないタスクの積み重ね記憶によって挑戦しなくなる
達成できない・できなかったことを積み重ねると、人には苦手意識が芽生える。何かに挑戦するとき、達成できなかった過去の経験がツァイガルニク効果により記憶に強く残り「また達成できないんじゃないか」と考えてしまうためである。
ツァイガルニク効果の応用
電子書籍(コミックス)の最初の数巻だけ無料で読めるというキャンペーンがある。小説であれば、最初の数ページだけ読めるようにするのも類型で、これは「話の途中で続きが気になる」という未達成な状態を作り出し、読者の続きを求める意欲を醸成するツァイガルニク効果の応用である。また、連続ドラマの1話1話の終わりに引きを作ることで、視聴者の「続きが気になる」状態を作り出すことも同様である。
Web領域においては「続きはWebで!」というコピーも本事象の応用であり、さらにブログ記事のタイトルを「健康な体を維持するたった1つの生活習慣とは?」といったように、タイトルで全てを伝えず中身に興味を持たせる形で用いられることもある。