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ダークパターン Dark Pattern

ユーザーを騙す行為、デザイン
ユーザーが想定する(無意識の)行動を逆手にとって騙す、そのように思わせること

実際とは異なることや、ユーザーにわからないように故意に騙すデザインを行うことを指し、ウェブサイトやアプリ上では、ユーザーが意図せず商品を買ったり、同意を行わせることが多い。現在は、欺瞞 ( ぎまん ) (人の目をごまかし騙す)ディセプティブ・デザインと呼ばれている。

デジタルデザイン上のダークパターンのタイプは大きくわけて「ユーザーにそのように思わせてしまう」「認識とは別に購入(コンバージョン:CV)させてしまう」の2つがある。

良くある例として「意図せず購入した(CV)後に気づき、キャンセルしたくてもわかりにくいデザインで処理ができないこと」などがある。

この言葉の生みの親であるUXデザイナーのハリー・ブリヌル(Harry Brignull)は、自身が作成したWebサイト「DarkPatterns.org」にて、ダークパターンの数々の事例をまとめている。

2018年には、ダークパターンという言葉では意味がわかりにくいこともあり、またウェブサイトを巡り訴訟案件も増えていることから、直接的な言葉である deceptive design [欺瞞 ( ぎまん:人の目をごまかし、だますこと ) 的なデザイン]と名称を変更した。

ダークパターン発生の理由

ダークパターンが至るところで見られる理由は、コンバージョン率を上げるのに即効性があるからである。数字上の利益を追求した結果、デザイナーは依頼者の要望に応えるためにダークパターンを使ってしまう事態が起こってしまう。

ダークパターンのデメリット

ダークパターンはユーザーを騙すことで短期的な利益を得るが、信頼を裏切ることにもなるため、長期的な目線で見れば誤ったビジネス戦略となる。

ダークパターンを採用した時に起こりうるデメリットは以下である。

  1. 売れるプロダクトにも関わらず、売れる(利益をもたらす)機会が失われる。
  2. 騙されたユーザーは返品を求める可能性が高く、返品の配送料や払い戻しの費用がかかる。
  3. ユーザーから電話がかかってくる可能性が高まり、カスタマーサポートへの電話が増えることになり、結果的に多くのリソースを割く必要が生じる。
  4. ユーザーがSNSで不満を言う可能性が生じ、数字では測れないブランドの評価が下がる。
  5. だまされたユーザーは常連にならず、クチコミされることもないため、新規顧客の獲得に要する労力が増す。

デザイナーに求められるのは「説得力のあるデザイン」

UXデザイナーのアンダース・トクスボー(Anders Toxboe)は、デザインを行う上で直面する数々の問題を解決するための基本的なデザインパターンを「UI-Patterns.com」でまとめている。

彼が主張するのは、ユーザーの心理を理解した上でユーザーの行動を促進することができる「説得力のあるデザイン」である。

人に関心のないことをやる気にさせるは凄く難しい。説得は誠実で、倫理的に正しくなければならない。でなければ、ほんの短い出会いの瞬間だけに留まり、継続的な影響はもたせない。ユーザーに登録をさせようという無理な行為は、ユーザーがプロダクトを使い始めたあとで裏目にでる。(UXデザイナー: アンダース・トクスボー)

デザイナーはビジネスとユーザーの間に立つ存在として、倫理を守る必要がある。

騙す様なひどいデザインを依頼された場合、ユーザーを騙すことなく、依頼者にも説得力のあるデザインを提案する力が求められる。説得力のあるデザインは、どの人にも理解され、ユーザーを獲得しプロダクトの登録や購入へと導く。

関連用語

ディセプティブ・デザイン

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