自動車・機器などのハードウェアの意匠形状設計は、1920年代前半までエンジニアが主に手掛けていた。その後、1920年代末から1930年代にかけて、インダストリアルデザインの父「Raymond Loewy」らの活動により、意匠形状設計の優劣が製品の売り上げを左右すると認識され、デザイナーも参画するようになり、インダストリアルデザインの領域が明確になった。
現在、インダストリアルデザイナーは製品の外観を考えるだけでなく、機能や使い勝手、生産性など、製品全体をデザインするようになっており、製品がユーザーに対してどのような価値や文化を生み出すかについても考慮して設計する必要がある。
インダストリアルデザインはプロダクトデザインの一部
インダストリアルデザインは、工業製品を意味し、広義の製作物全体であるプロダクトデザインの中に含まれている。
インダストリアルデザイン制作の流れ
インダストリアルデザイン制作の工程は「調査・コンセプトの決定」「デザインスケッチの制作」「デザインの検証」の大きく3つに分けられる。
調査・コンセプトの決定
マーケティングデータ、業界、競合製品、競合企業の調査結果を分析し、製品コンセプトを決定する。
デザインスケッチの制作
製品コンセプトの性能要件を満たすようなラフデザインを制作する。
この際、比較するためデザイン案は複数スケッチする。
デザインの検証
デザインスケッチをもとに3DCGや模型を制作する。実物に近い素材を使用すると、リアリティーが向上し、製品コンセプトを満たしているかを確認しやすい。
このフェーズで、生産コストや設計条件など製品として実現可能かどうかも検証する。
インダストリアルデザインでもユーザーリサーチは大切
インダストリアルデザインを制作する上では、商品企画上の狙いやコンセプト、実現すべき機能、開発製造コスト、ブランドイメージなど、様々な制約の中で適切なデザインを制作する必要がある。ユーザーが求めている製品に近づけるには、市場のデータだけでなく、インタビューや行動観察(エスノグラフィー)といったユーザーリサーチが有効である。
デザインの制約は守りつつも、ユーザー目線、使い勝手も考慮することで、ユーザーがストレスなく長期間使ってもらえる製品を生み出すことができる。