「無駄を省いた」という意味のLeanに、UXの概念を組合わせたもの。リーンという言葉は、生産過程の無駄を徹底的に省いたトヨタの生産方式を意味する「リーン開発」から生まれた。leanには「贅肉がなく引き締まって痩せている」というような意味合いがある。「より良いビジネスの成果を得ること」を最終目標とし、組織が一体となってUXデザイン、開発等のプロセスを進めるための手法。
2013年にJeff Gothelfによる書籍 LeanUXにて提唱された。
Lean UX ―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン (THE LEAN SERIES)
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LeanUXを構成する3つの基盤と15の原則
3つの基盤
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デザイン思考
プロダクト起点やサプライヤー目線ではなく、人間(ユーザー)中心で考える思考法。
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アジャイルソフトウェア開発
迅速かつ柔軟にソフトウェアを開発する手法群の総称。以下の特徴がある。
- プロセスやツールよりも、個人と相互作用
- 詳細で分厚い文書よりも、機能するソフトウェア
- 契約交渉よりも、顧客とのコラボレーション
- 計画の遵守よりも、変化への対応
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リーン・スタートアップ
「構築(build)-計測(measure)-学習(learn)」の フィードバック・ループを用いて、プロジェクトのリスクを減らし、開発と学習を迅速化する手法。
15の原則
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部門・領域横断的なチーム
組織的な領域を超えてすべての部門間での高いレベルのコラボレーションが必要である。
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小規模、専任、同一場所
チームは小規模にし、中心メンバーは10人以下になるようにする。
チームはひとつのプロジェクトに専念させ、全員が同じ場所で作業するようにする。
同じ場所で働くことのメリットは、「コミュニケーション」「集中」「連帯感」があげられる。 -
進捗は結果(アウトプット)でなく成果(アウトカム)で測る
進捗は、機能やサービスを開発すること(=アウトプット)ではなく、ビジネスの成果(=アウトカム)を基準とする。
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課題焦点型のチーム
機能を実装することでなく、ビジネス上の課題解決を目標とするチームになるべきである。
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無駄を取り除く
LeanUXの最終目的である「より良い成果を得ること」に貢献しないものはすべて無駄であると見なし、早い段階でプロセスから除外する。
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バッチサイズは小さく
成果物が形になるのを待つのは時間の無駄である。
アイデアの効果測定までにかかる時間を短くするためにバッチサイズは可能な限り小さくする。 -
継続的な発見
定期的かつ、継続的にユーザー調査を実施する。
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GOOB 新たなユーザー中心思考
「Getting out of the building」(ビルの外に出よ)の頭文字をとったもの。
会議室での議論より、社外(市場)に出て調査することを重要視する。 -
共通理解
チームが集団として、仕事の内容やその理由を理解することが重要である。
結果として、報告書や、詳細な文書への依存が不要になる。 -
アンチパターン
「ロックスター」「エバンジェリスト」などのエリート的な振る舞いをする専門家がいるとチームの連帯感が損なわれる場合がある。
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仕事の外面化
他者の視点に晒すことで個人の考えをチームで把握できる。またアイデアを共有することで新たなアイデアが生まれやすくなる。
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分析よりも形にする
分析よりも実際にアイデアを形にすることを評価する。
答えは顧客が製品を使う現場にあるため、分析に時間を使うのは無駄である。 -
成長よりも学習
まずはアイデアについての正しい理解を得ることに集中し、その後で規模を拡大する。
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失敗を許容する
成功するためには、安心して失敗できる環境が必要である。
安心して失敗できる環境には「技術的に安心」「文化的に安心」の2つの側面がある。技術的に安心:安全な方法でアイデアを試すことができる環境
文化的に安心:失敗を罰せられない環境 -
中間成果物中心の仕事の進め方からの脱却
開発対象物についての文書ではなく、達成しようとしている成果にデザインプロセスの重点をシフトさせる。
LeanUXの効果: 市場のフィードバックが早く得られる
アジャイルソフトウェア開発や、ここ数年のソフトウェア開発関連技法の進歩により、製品リリースまでの期間が大幅に削減され、短期的なサイクルで自由なリリースが可能になった。
その結果、リリース後、実際のマーケットのフィードバックから、改善のイテレーションが可能になり、競合優位性を構築できるようになった。
LeanUXの本質はマインドセット
LeanUXの書籍では、実践するための開発プロセスやマネジメント手法を多く紹介している。しかし、著者のゴーセルフは書籍内で「私は、読者の皆さまにLeanUXとはマインドセットであると理解していただけることを願っています」と述べている。