1943年にKenneth Craik が著書The Nature of Explanationで初めて使ったとされている。その後、1983年にMental Modelsと題する本が2冊(P. N. Johnson-Laird 著、Dedre Gentner , Albert Stevens 著)出版され、現代では認知心理学の分野で重要な要素として扱われている。
メンタルモデルは過去の経験から作られる
犬に対するメンタルモデルを考える
以下の図の2人のうち、1人は過去に犬に噛まれたことがあり「犬は噛むから危ない」というメンタルモデルを持ち、もう1人は家で犬を飼っており「犬は可愛く触れ合える」というメンタルモデルを持っている。この2人のアクションは異なり、それぞれのメンタルモデルがアクションに影響を与えているということになる。
これを抽象化すると、メンタルモデルとはヒトが「これはこういうものだろう」と頭でイメージすることであり、ヒトが対象を認識する際、また意思決定を行う際に大きな影響を及ぼすものである。これは個々人の生きてきた経験を基に形成されるモデルなため、育ってきた環境や文化により変化し、また真実でない可能性もあるものだ。
青色アンダーライン(リンク)のメンタルモデル
インターネットの世界にもメンタルモデルは存在する。例えば、文字リンクである。青色でアンダーラインが引かれた文字は、「選択すれば別のページが開ける」と思うのではないだろうか?「紫色はもう表示したことがある」というのも、メンタルモデルである。
ここはリンクです
このリンクは一度選択しました
※上記の例はリンクではない。誤解を生む不適切な表現である。
ユーザーのメンタルモデルを意識する
インターネットの世界では、広く用いられるデザインがそのままメンタルモデルとなりやすい。上述の文字リンクも「これは別のページが開くものだろう」というメンタルモデルを形成している。
そのため、もしあなたがWebサービスをデザインする立場であれば、ユーザーの使いやすさを追求するために、ターゲットセグメントのユーザーが普段よく使うサイトを参考にすると良いだろう。例えばFacebookやAmazonといったWebサイトである。
その上で、もしあなたがある機能の表現に過去にない新しいデザインを採用する場合、そのデザインでなければどうしても表現できないか、あるいは既存の表現を圧倒的に上回る体験を提供できる自信を持って行うと良い。
不必要なオリジナリティは、ユーザーに余計な学習コストを払わせ、体験を損ねることにつながってしまう可能性を常に意識しなければならない。