TOP UX用語 心理学・行動経済学・脳科学 単純接触効果(ザイアンスの効果)

単純接触効果(ザイアンスの効果) mere exposure effect

無意識であっても繰り返し接すると好意度や印象が高まる心理傾向

「たくさん目にしたものに好意を抱く」という経験則に基づき、アメリカの心理学者Robert Zajoncロバート・ザイアンスが実証した。

被験者に単語や写真を示し、回数に応じてどういった印象を受けるか実験したところ、たくさん目にした単語や写真に好意を抱く傾向があった。

この実験結果には反論があり、たまたま多く使われたサンプルに対して「良い意味であったり発音のしやすい言葉だからではないか」「写真の人の顔が好ましいものだったからではないか」という指摘だった。
反論を受け、ザイアンスは次の実験では、被験者に提示するサンプルを「被験者には発音も意味もわからない漢字」を用いた。
その結果、被験者に示した回数が多い漢字に被験者が好意を抱いたという結果が得られたため、提示対象を問わず適応される効果であることが実証された。

Robert Zajoncの肖像

Robert Zajoncロバート・ザイアンス
(引用: social psychology network)

単純接触効果の応用

面識のない対象であっても、映像や音などで繰り返し接触すると好意度が上昇する。特に対人関係については熟知性の原則と呼ばれる。このとき、対象の持つ性質・性格や背景は好意度の上昇に無関係である。

「薬局に行ったときに同じような商品の中から何度もCMで目にした事がある商品を購入した」「何度か会ううちに打ち解けて親友になった」といった経験は多くの人が持つ。
ブログ記事内で特定の商品について画像や文章で何度も説明するアフィリエイトも、単純接触効果の応用である。

面識のない対象であっても、繰り返し接触すると好意度が上昇する

繰り返せば好意度が上がり続けるとは限らない

ザイアンスは学生を被験者とし、接触の繰り返し回数についての実験を行った。

実験内容

  • 12人の被験者に見ず知らずの他人がそれぞれに写った写真を、1枚につき2秒のペースで無作為に86回提示する。
  • 86回の提示がすべて終わった後に、被験者は各写真に対する好意度を0〜6の7段階で評価する。
  • すべての写真には提示回数(=接触回数)を設定し、0回・1回・2回・5回・10回・25回の条件に,それぞれ写真を2枚ずつ割り当てる。
  • 提示回数が0回の写真が2枚あり、これは最後の好意度評価のときに初めて見せられる写真で、その他の10枚は必ず1回以上は見ている。

実験結果

提示の後の好感度評価のときに初めて見た提示0回の写真に対して, 実験で25回見せられた写真の好意度は1ポイント高くなった。
この実験によって、「対象を繰り返し見ることで、対象の特徴とは無関係に好意度が変化する」と証明された。

実験の接触回数と好感度の関係をグラフで表すと、接触回数が10回を超えると上昇傾向が極端に落ちることがわかる。

よく見たり繰り返し接すると好意度や印象が高まると言われているものの、ひたすら接触回数を増やせば効果があるとは限らない。
気になる異性に過剰に接触したところでストーカー扱いされる危険性もある。

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