大事な試験の前にSNSを見て、貴重な時間を無駄に過ごしたり、仕事で重要なプレゼンを行う前に「準備する時間が足りなかったから失敗するかも」と事前に言い訳する余地を残しておく行動や思考。
アメリカの社会心理学者である、Edward E. Jonesによって提唱された。
セルフ・ハンディキャッピングを行う目的は、自尊心を傷つけないようにするためである。失敗した時に「本気を出せば成功した」という言い訳をすることで、今回の失敗は偶然であったと思い込み自尊心を傷つけないようにする。
セルフ・ハンディキャッピングは自分の能力を低下させる
セルフ・ハンディキャッピングを行うことで、失敗した時の言い訳ができるため、自分の能力を向上させるための努力やチャレンジを行わなくなる。セルフ・ハンディキャッピングは自分の能力を低下させる行動と言える。
2種類のセルフ・ハンディキャッピング
セルフ・ハンディキャッピングにあたる行動は、敢えてハンディキャップを作る獲得的セルフ・ハンディキャッピングと、ハンディキャップがあったと人に伝える主張的セルフ・ハンディキャッピングの2つの種類に分けられる。
獲得的セルフ・ハンディキャッピング
目的と関係のない行動を行うことで、自分にハンデを課すこと。具体的には以下の行動が獲得的セルフ・ハンディキャッピングである。
- 試験の前に漫画を読んだり、部屋の掃除をして過ごす
- 大事なプレゼンの前日に深酒をする
試験やプレゼンなどの準備に使える時間を他に使うことで、準備する時間がなかったという自分への言い訳を行い、成果が出なかった場合でもプライドが傷つくのを避ける。
主張的セルフ・ハンディキャッピング
実際がどうだったかに関わらず、周囲に対して準備不足を伝えること。具体的には以下の言動が主張的セルフ・ハンディキャッピングである。
- 「緊張であまり寝られなかった」
- 「忙しくて準備する時間を取れなかった」
- 「今日はなんだか体調が悪い」
できない理由を周囲に発信することで、うまくいかなかった場合でも「仕方ない」と周囲に思ってもらう。自分が本来の能力を発揮すればうまくできたかもしれないと思い込むことで、自分の能力を否定せずに済む。
セルフ・ハンディキャッピングを行うと周囲から否定的に見られる
セルフ・ハンディキャッピングによって、言い訳ばかりしていると、周囲からの期待や評価も下がってしまう。
セルフ・ハンディキャッピングで周囲からの期待が下がる
成功するための努力を怠ることで、成長する機会を失うだけではなく、周囲から期待されなくなり、成長する機会を与えれらなくなっていく。
セルフ・ハンディキャッピングを克服していくために、「できない理由」を探すのではなく、「できるための方法」を考えていくことが大事である。