黒は、攻撃性・支配性・不浄を象徴する色である。
黒の効果には、ポジティブ・ネガティブの両側面がある。
ポジティブな側面: 高級・高価・知的・スマートであると認識される
製品の知的価値や、権威を感じさせるには黒を利用すると良い。
黒の効果と光沢感バイアス
さらに魅力を強めたいときは、光沢感バイアスという、光沢感のある物体が人々に好まれる傾向とあわせて黒色を利用するのも効果的である。光沢感バイアスは実物だけでなく、光沢感のある物体を写した画像に対しても働く。
ネガティブな側面: 悪や不吉な出来事、不正を連想させる
普遍的に、悪や不吉な出来事を連想させる効果がある。
人類が誕生して間もない頃の先祖が、暗闇や夜間に活動する捕食者や略奪者への恐れを持つことは環境適応に有利に働き、その感覚は現代人にも受け継がれている。
攻撃性を伝え、対象者を怯えさせたいときに黒を用いることで、効果的に認識させることができる。
ポジティブ・ネガティブの両側面を踏まえた例:スポーツのユニフォーム
スポーツで黒いユニフォームを着たチームのプレイヤーは、明るい色のユニフォームのチームより攻撃的で、不正を働きがちという印象を与え、試合で反則をとられやすいという研究結果がある。
この結果を踏まえ、ポジティブ・ネガティブの両側面を踏まえて取り入れている事例は以下。
プレイヤーに黒を着用させない規定(日本サッカー)
日本サッカー協会のユニフォーム規定では、黒は審判の規定色とされ、選手は黒と明確に区別できる色のみ公式戦で着ることができる(参考:日本サッカー協会規定)
黒は、知性・権威を感じさせる側面もあるため、審判が着用することでプレイヤーと審判の立場の違いを視覚的・心理的に明確にしている。
ラグビーニュージーランド代表、オールブラックス
ラグビーニュージーランド代表のオールブラックスのユニフォームは黒である。黒のユニフォームは反則を取られやすいというリスクがあるが、黒の持つ攻撃性・支配性・威圧感の印象と敵を怯えさせる効果がチームに有利に働いている。
オールブラックスはワールドカップで史上最多優勝歴を持ち、2009年以来世界ランク1位という成果を残している。
明度による重さの感じ方の変化
色の尺度の1つである「明度(色の明るさ)」は、重さの印象の違いとなる。
同じ大きさ・同じ重さの白い箱と黒い箱の場合、白の箱の重さの印象を100とすると、白と黒の箱の重さの印象の比率は「100:187」となる。
(数値引用: モノは色で売れ、人は色で集まる~ 色から感じる重さ、人の心理とは ~)
色による重さの印象を利用している例: 金庫
金庫の色に黒や暗い色を用いることで、重たく簡単に持ち去れない印象を与え、防犯効果に役立っている。