知識の伝達手段として古くから利用されてきたストーリーは、視点、コンテキスト(状況)、心的イメージなど様々な情報が含まれているため、聞く人のイメージを膨らませ出来事への理解や共感を助けることができる。
ビジネスではマネジメントの分野でもストーリーテリングが活用されていたが、UXデザインの分野においても活用されている。
ストーリーテリングの効果
ストーリーテリングは、ストーリーの視聴者に対して以下の効果がある。
- 出来事を説明する
- 記憶に残りやすくなる
- 登場人物の経験に引き込み、想像力を与える
- 特定の感情を引き起こす(仮想体験)
- コンテキストの理解を促進する
ストーリーテリングがうまく行われると、視聴者はストーリーの中の経験を自分の解釈で擬似的体験をすることができ、その後も思い起こすことができる。視聴者もストーリーの一部になる現象はストーリーテリング特有の効果である。
ストーリーで視聴者に想像力を与え・特定の感情を引き起こすことで、説得したり、行動を呼びかけることが容易になる。
ストーリーは22倍記憶に残りやすい
ストーリーは、事実の羅列で伝えるより22倍記憶に残りやすくなることが、スタンフォード大学のビジネススクールのマーケティング担当教授のJennifer Aakerr氏の研究によって明らかになっている。
(参照: Harnessing the Power of Stories)
ストーリーを伝達する手段
- 口頭で語られるもの(口伝)
- 図や動画で情報を表す視覚的なもの(スライドショーや動画、教育用ソフトウェアなども含む)
- 小説やレポートのように文章によるもの
ストーリーの視聴者を一連の出来事の経験に引き込むような情報提示手段であれば、どんな手段でも伝達に利用できる。
共感されるストーリーにするためには
ストーリーで人を動かすためには、共感されるかどうかが大切だ。
共感されるストーリーは、物事の経緯と意味付けで構成される。
物事の経緯を説明するだけでは、共感されるストーリーにはならない。
例えば、「〜〜があって、それで〜〜〜で・・・」といったような、起こったことを順番に話している人の話は「それで、何が言いたいの?」「ダラダラした話だな」と感じ、結果的に共感できなかったという経験がある人もいるだろう。
話し方や雰囲気も共感される要素になるが、大切なことは、物事の経緯に「影響を受けたこと」「学んだこと」「気づいたこと」という「意味付け」を加えて、共感されるストーリーの構成にして伝えることである。