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ラダリング法 Laddering Interview Tequnics

ユーザーの生活価値観を明らかにする調査手法

人は意思決定の際、なんらかの価値観を持って選択するが、その選択は意思を持っているケースが少ない。提唱者のジェラルド・ザルトマン(Gerald Zaltman)の『心脳マーケティング』によれば、人間の思考や行動の95%は無意識であり、無意識に判断を下す価値観を明らかにすることは大変困難であると述べられている。ラダリング法は、対象の価値構造を掘り下げていくことで、無意識で行っている思考や行動の価値を明らかにする手法である。

ジェラルド・ザルトマン氏の写真

ジェラルド・ザルトマン氏:ハーバードビジネススクールより引用

ブランドの価値をラダリング法で明らかにする

あるブランドAを利用するユーザーの生活価値観を明らかにするために、ラダリング法によるインタビューを以下のように行う。

  1. 対象のブランドAと、その競合ブランド2つの合計3ブランド提示する
  2. このうち2ブランドを選択し、どちらが好きか、またどんな違いがあるかを尋ねる
  3. 1-2を繰り返し、選択に関わる重要な属性(特徴や機能)を選択する
  4. 「選択した属性が、調査対象者にとってなぜ重要か」を繰り返し質問する
  5. 質問を繰り返し、「機能的ベネフィット(ブランドの価値・効果)」、「情緒的ベネフィット(ブランドの心理的価値・効果)」を経て「生活価値観」を明らかにする。

食べログとホットペッパーを比較してみる

ラダリング法の具体例

たとえば、調査対象者に「食べログとホットペッパーのどちらを利用するか?」と質問し、得られた属性から「そのことで、どんな良いことがあるか?」「なぜ良いと思ったか?」を掘り下げていく。

属性:口コミがたくさんある→機能的ベネフィット:評価が高い店を予約できる→情緒的ベネフィット:お店選びで失敗しない→生活価値観:良い思い出を作りたい。美味しいものを食べたい。

図のように「口コミがたくさんある」というサービスの属性から、「評価の高い店を予約できる」「お店選びで失敗しない」というベネフィットを経て、「良い思い出を作りたい。美味しいものを食べたい。」というユーザーの根底の価値観が明らかとなる。このように下位の概念から上位の概念へ、はしごをかけるように掘り下げていくのが「ラダリング」と呼ばれる所以である。

ラダリング法のWebデザインへの応用

ラダリング法で得られた生活価値観を、デザインコンセプトに当てはめることで、デザインによって良い印象を与えることができる。

食べログの例であれば、「良い思い出を作りたい。美味しいものを食べたい。」という価値観に訴えるような、「人々が楽しそうに食卓を囲んでいる」イメージなどが効果的であり、実際にトップページのデザインは下記のようになっている。
食べログトップページのイメージ

参考

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