戦略を3つのCで分析する
自社分析と競合他社分析に顧客視点を入れたフレームワークで、顧客のニーズに応えられる戦略立案に役立ち、競合他者を上回る手を考え出すために役立つ。「顧客 (Customer)」「競合他社(Competitor)」「自社(Company)」の3つCで始まる要素分析することで、複雑になりがちな事業戦略をシンプルに考えることができる思考ツールである。
3C分析は、大前研一氏が提唱したもので、1984年に発行された書籍「ストラテジック・マインド―変革期の企業戦略論」によって広く知られるようになった。
3C分析における3つの視点
事業戦略では顧客のニーズを考えることが大切であり、誰に向けてのサービスを作るか決めるため、顧客の分析を一番最初に行う。
1.顧客(Customer)の視点
顧客の視点には、顧客個人にフォーカスしたミクロと市場にフォーカスしたマクロの2つ視点が必要である。
- ミクロ(顧客)の視点…顧客の特性、顧客それぞれが求めるニーズや行動パターン
- マクロ(市場)の視点…市場の規模や構造、成長率
顧客が求めるニーズや市場の規模・構造も時間が経つと変化していく。自社のサービスのユーザー像が明確にするために、以下のような項目で洗い出す。
- 顧客は誰なのか?/現在の顧客は誰なのか?
- 顧客はどんなニーズを持っているのか?
- 何が購買の決め手になっているのか?
- 市場はどのような構成になっているのか?
- 市場の規模や将来性はどの程度あるのか?
2.競合(Competitor)の視点
競合の視点には、競合の数・獲得しているシェア・経営資源・差別化ポイントが挙げられる。競合には、直接比較される直接競合と提供する価値が同じ間接競合がある。以下のような項目を洗い出して分析する。
- 競合(直接、間接)はどこなのか?
- 競合の強みと弱みはなにか?
- 競合は業界をどう見ているのか?
- 競合は顧客からどう見られているのか?
- 新たに脅威となるところはないか?
3.自社(Company)の視点
自社の視点には競合の視点と同じように、経営資源・獲得しているシェア・差別化ポイントが挙げられる。以下のような項目を洗い出して、分析する。
- 何を目指して事業をやっているのか?
- 強みと弱みは何か?
- 勝ちパターンと負けパターンは何か?
- 経営資源は十分であるか?
- 事業を進めるのに適した組織構成になっているか?
架空のカフェを用いて3C分析を実施
「新橋駅付近にある個人経営のカフェ」という架空の例を元に、3C分析を行ってみる。
3C分析
新橋という立地上、ビジネスマンが多くいる。特に社内勤務より、営業に回っていたり打ち合わせをしたりする人が多く存在する。夕方からは、ビジネスマンの飲食が目立ち、カフェ利用者の大半は打ち合わせか、その前の資料作りである。年齢は30〜40代の割合が大きい。
顧客 | ミクロ(顧客)の視点
マクロ(市場)の視点
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競合 |
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自社 |
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3C分析から導かれたコーヒー割引の戦略
3C分析を元に顧客、競合、自社の視点から戦略を立てた。
新橋という場所柄、会社訪問するビジネスマンも多く、カフェにPCを持ち込む人が増えてきている。ことから、パソコン持参する顧客層にアプローチすることを決定。競合であるチェーン店やコワーキングスペースへの対応策を自社の強みとして以下のように戦略を立てることにした。
PCを持ち込んで作業をするビジネスマンに対してアプローチする。具体的には「電源を設置した席を増やす」「コーヒーのお代わりは割引にする」といった対策をとる。
最も重要なのは「顧客の視点」
3C分析の中では自社の視点に偏りがちであるが、一番重要なのは顧客(Customer)である。競争に対して優位に立つ以前に、顧客の本質的な要求を客観的に観察し、顧客視点から事業戦略を作ることが重要である。