「人は自ら創作したものに対して思いや愛着を持ち、過大評価をすることがある」という効果。
2011年にハーバードビジネススクールのMichael I.Norton、イェール大学のDaniel Mochon、デューク大学のDan Arielyによって発表された。
IKEA効果の要因
「自分で組み立てた製品」は、自分が有能であるということを示すことができる。
IKEA効果は、組み立てた努力を実際の商品の評価に反映させてしまう認知バイアス(偏見)である。
IKEA効果と名がつく前に存在した例
「IKEA効果」という名前が付く前にも、混ぜるだけできるケーキミックスに、「卵を入れる」というひと手間を加えることで、売上が上がったという事例がある。自ら手を加えた物の価値が高く感じる傾向がある事は既に知られていた。
家具の組み立てによる価値観の実験
被験者を「すでに組み立ててあった家具の点検だけをするグループ」と、「自分で家具を組み立てるグループ」に分け、家具の組み立てによる価値観の実験を行った。
それぞれのグループで家具に価格を設定してもらうと、家具を自分で組み立てたグループは点検だけしたグループよりも、価格を63%高く設定するという結果が出た。
家具を最初から最後まで組み立てるように指示された被験者と、部分的に組み立てるように指示された被験者では、前者の最初から最後まで組み立てる被験者の方がより多く価格を支払う意思があった。
埋没費用との関係性
事業やサービス、投資には、資金・労力・時間などのコストが発生しており、それらは回収することができない。これを埋没費用という。
「IKEA効果」によって「埋没費用」が大きい成果物のコストを過大評価する危険性がある。「気に入ったアイディアを時間をかけて出した」「手作りなので価値がある家」の様に、コストを過大評価してしまい、非合理的な判断に陥る習性があることを注意する必要がある。
SpotifyでのIKEA効果の活用
物理的なものだけではなく、UIやサービスにおいてもIKEA効果は生じる。
Spotifyでは好きな楽曲でプレイリストを作成できるため、予め用意されているプレイリストよりも愛着を持って利用できるといえる。
完全にプレイリストをカスタマイズするためには有料版にアップグレードする必要があるため、一度作成しプレイリストやSpotifyに愛着を持ったユーザーを上手く有料版へ誘導している。