インターネットの普及により、自ら情報を調べアクションできるようになった現代では、製品やサービスに新しいアイデアやイノベーションが必要となる。新しいアイデアやイノベーションのためには、外部の意見を取り入れることが重要だ。共創は、顧客やステークホルダーといった多様な人々を巻き込む新たなアプローチとして、2004年アメリカのミシガン大学ビジネススクール教授であるC. K. PrahaladとVenkat Ramaswamyにより提唱された。
普段関与しない人々の幅広い意見を取り入れることで新たな価値を創出できる。
消費者以外とも共創できる
企業と消費者の間における共創を取り上げることが一般的だが、共創に関わる人には以下も含まれる。
- 見込み顧客
- 卸・サプライヤー
- 競合他社
- 業界のインフルエンサー
共創が活用される場面
1.製品開発
製品開発の場で、顧客のニーズを知ることはとても重要だ。顧客とともにワークショップやアイデア出しを行うことで、自然と顧客ニーズに基づいた製品開発をすることができる。また、企業のメンバーはその分野のプロフェッショナルである一方、日頃のやり方に慣れてしまい新しいアイデアが出にくい状態になっている。外部のメンバーを巻き込むことで固定概念に縛られない新しい製品アイデアを生み出すことができる。
2.サービスデザイン
顧客・企業両方の側面からサービスを改善していくサービスデザインにおいて、共創は切り離せない要素である。背景や知識の異なる多様な人々と共通認識を作るために、ジャーニーマップ、ストーリーボード、ステークホルダーマップなどさまざまなツールを活用できる。
3.職種や業界の垣根を超えたイノベーション
自分のいる企業や環境が全てだと感じ、外を見ようとしないことを「サイロ効果」と呼ぶ。サイロ効果は企業のチーム間で起こるケースが多いが、業界の間でも起こりうる。例えば、「ソフトウェア会社は小売や配送に関して最新動向を知らない」というような状況である。異業種のメンバーとワークショップや開発を行うことで、サイロ効果をなくし、業界の垣根を超えたアイデアが生まれる。
共創の事例
無印良品
無印良品では「くらしの良品研究所」として顧客へのアンケートや要望を受けるプラットフォームを設けている。
顧客からのリクエストを受け付ける「IDEA PARK」では、新商品のリクエスト投稿とそれに対する「いいね」や「コメント」ができる。
IKEA
Co-Create IKEAという取り組みで、共創を進めている。製品開発チームが取り組んでいるプロジェクトを共有し、顧客への調査やアイデア、フィードバックを仰いでいる。顧客が欲しい商品アイデアを投稿し、実際の製品になったものには報酬金が与えられ、多くの人気を集めている。
公共交通オープンデータ協議会
民間企業以外にも共創の事例はある。
公共交通オープンデータ協議会主催の「東京公共交通オープンデータチャレンジ」では、内閣官房IT戦略室、国土交通省、東京都などの国家機関と鉄道・バス・航空各社が共催・協力し、「東京」の移動を快適にするアプリを募集している。
驚くべきは公開されたデータ量で、鉄道・バス・航空の時刻表や運行情報に加え、駅構内の図面データ、内閣官房管理の流動人口データまで、膨大なビッグデータを公開している。