デフォルトの状態はUIが隠れているが、ユーザーが必要な時に表示するShy Tech(シャイテック)は、「BMW Vision iNEXT」に新しく取り入れられたことで注目された。
例えば、多くの車はボタンを押したり物理的なレバーを使って操作しているが、ShyTechを用いると、ユーザーが必要だと思った時に、車内のシートの布やコンソールの木材の上にUIを表示させることが可能になる。
ShyTechの技術は、車だけでなく冷蔵庫などの家電製品にも採用されている。
ShyTechによって車のUIが大きく変わる
ShyTechを用いることで、従来の車のUIを大きく変更し、よりデザイン性を考慮されたものが生まれるようになった。
物理ボタンのないスマートなデザイン
「日産 ARIA」のダッシュボードは、エアコンの操作を木材の上に透過表示させ、シンプルなデザインを実現させている。同時に、触れると振動するハプティクスも採用することで、ボタンを操作している皮膚感覚をユーザーに与える設計をしている。
運転に集中しやすい環境
運転中にボタンやレバーの操作が多いと、集中力が低下し事故を引き起こす可能性がある。ShyTechでは、ボタンやレバーを必要最小限に抑えられるため、操作を減らすことが可能となり運転に集中しやすい環境を作ることができる。
「BMW Vision iNEXT」のデザインは、エアコンのボタンやシフトレバーを極限まで排除している。
車内での過ごし方を重視したデザインへ
従来の車は、運転者中心のデザインがされていた。つまり、運転席から操作しやすいようにボタンが配置されている。
しかし、今後は自動運転の普及により運転者中心のデザインから車内での過ごしやすさ重視のデザインに変化していくと考えられる。運転者だけでなく、車に乗った人が心地よいと感じるデザインにするためには、普段は隠れていて見えないが、ユーザーが必要なときに情報を与えるShyTechのような技術は有効である。
しかし、電源が落ちた場合は操作できなくなるというデメリットがあるため、人命に関わるものは、物理ボタンを採用した方が安全性が高い場合もある。
全てにShyTechを適用するのではなく、物理ボタンとうまく組み合わせ、利便性だけでなく、安全性も考慮してデザインしていくことが大切である。