概要
スキーマとは認知心理学において用いられる言葉で、人間の認知過程を説明する際に用いられる概念のひとつです。
ある物事に関する知識について似たような例が集まってくると、それらに共通したものを抽出して一般的知識として捉えることが可能になります。
※スキーマはITなどの技術用語で出てくるワードですが、今回は心理学で使われるワードのスキーマのことについての記事となっています。
例えば、タイヤが4つ付いていて、人が出入りする扉があり、中にはハンドルや座席があり、一部ガラス張りで中が見える鉄の塊というと、多くの人は「自動車かな」ということが頭に浮かび、少なくとも電車や馬車とは違うものだろうということが分かると思います。
スキーマ:心理学用語集 サイコタムより(検索日:2017/06/07)
顔文字の認識はスキーマの作用
では、次の例はどうでしょう?
上の例は海外で使われている顔文字の例です。
人によっては正しく認識出来たでしょう。それは恐らく知識があったから、または表情というヒントから、顔文字として捉えることが出来たからだと思います。
スキーマはこういった知らないことであっても、今までの経験から恐らく表情だろうと”捉える”ことが出来る認知方法です。
しかし、このスキーマによって正しい認識が出来ないこともあります。
スキーマは時として障害となる
いまから、日常会話を使って、スキーマによる情報の認識障害を体験して頂きます。
会話設定:Aさんはパソコンを新しく買い替えたいと考えていました。でも、Aさんはパソコンの話など全く分からないので、AさんはシステムエンジニアのBさんに相談することにしました。
- A「Bさん。新しいパソコン買いたいんだけど、何がいい?」
- エンジニアB「そうだねー。ちなみに今は何使ってるの?」
- A「いまはノートパソコンの◯◯使ってるよ。」
- エンジニアB「えーアレ使ってるの?使いにくくない?おすすめは××だよ」
会話例が短いですが、ここまでの会話でエンジニアBさんがどんな容姿でどういう関係の人かを想像してください。
このエンジニアBは、男性でしょうか?女性だと思いますか?
実は、エンジニアBさんは女性のシステムエンジニアですと言われたら想像通りだった人はいらっしゃいますか?
システムエンジニア=男性、またパソコンにこだわりがある=男性というイメージ、今までの知識が妨害して、女性というイメージが出にくということがあります。これがスキーマの意図しない作用の例です。
スキーマはプラスにもマイナスにも働く
スキーマは生活の様々な場面で作用しています。例えば色や形、サイト全体のデザインなども含まれます。
仮に、あなたが作ったプロダクトを初めて見たユーザーであっても、スキーマによって情報の関連付けが行われます。そのため、良いイメージであれば良いですが、悪いイメージと関連付けされることもあります。
スキーマを上手に作用させることが出来れば、最初から第一印象がよくなったり、親近感を生むことが出来ます。