「多様性」を意味する言葉であり、もともとは人権や社会的平等の文脈で使用されてきたが、現在では企業経営、教育、行政、そしてデザインの領域においても広く用いられている。
デザイン上における利用方法
デザインにおいて「多様な人々にとって意味のある、使いやすく、アクセス可能な体験」を提供するための前提条件である。
特定の層だけでなく、異なる背景や能力を持つ人々を含んだ視点で設計することで、より公平で包摂的なユーザー体験が生まれる。
このアプローチは、インクルーシブデザイン(inclusive design)やユニバーサルデザイン(universal design)と密接に関係している。
具体的な事例
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Appleの音声入力やVoiceOver機能
視覚障がいのあるユーザーのために開発された機能であるが、多忙な状況で画面を見ずに操作したい人にも役立っており、「多様な利用文脈」に配慮した設計といえる。 -
Googleのジェンダー中立的アバター選択
プロフィール作成時に男女どちらにも偏らないアバターやジェンダーフリーな表現を提供している。多様な性のあり方を考慮したUI設計の好例である。 -
公共交通のピクトグラムや色彩設計
色覚多様性に対応するため、色だけに頼らず形状やパターンで情報を伝えるデザインが導入されている。例:ロンドン地下鉄の路線識別。
提唱者について
「ダイバーシティ」という概念そのものに明確な“単独の提唱者”は存在しない。
これは社会運動や人権活動、フェミニズム、反差別運動、経営学の理論など、複数の分野で発展してきた概念であるためである。
ただし、ビジネス分野において「ダイバーシティ・マネジメント」を理論化し普及させた人物としては、以下が挙げられる。
代表的な研究者・実践者
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ロザベス・モス・カンター(Rosabeth Moss Kanter)
ハーバード・ビジネス・スクールの教授。
企業内における女性やマイノリティの機会均等、組織文化と多様性についての研究で知られる。1970年代から「tokenism(象徴的少数者)」などの概念で、組織における多様性の問題を指摘した先駆者のひとりである。
引用:https://www.ft.com/content/26373d7a-ae8a-11e2-8316-00144feabdc0#axzz2TBN7Z814