初期の印象や判断に固執しやすく、誤情報の訂正後もその信念が残りやすい心理特性がある。
提唱者

Lee Ross(引用)https://en.wikipedia.org/wiki/Lee_Ross

Mark Lepper(引用)https://psychology.stanford.edu/people/mark-lepper
この現象は心理学の分野で古くから知られており、特定の単一提唱者はいないが、Lee RossやMark Lepperらの実験的研究により広く認知されたものである。
これらの研究は、信念が根強く残る様子を示している。
デザインにおける活用と具体事例
① ユーザーテストと仮説検証
問題点:初期のインタビューやテスト結果で得られた仮説に固執し、後から出た反証データを無視すると、偏った設計判断になる。
対策:反証ケースも積極的に収集し、仮説が崩れた際には設計を見直す文化を浸透させる。
② コンテンツ改善プロセス
問題点:「このキャッチコピーは響く」という初期判断を捨てられず、ABテストで反応が悪くても運用し続けるとCVRが下がる。
対策:公開後のパフォーマンスを継続的に追い、改善が必要であれば迅速に変更を実行する。
③ ビジネス意思決定
問題点:特定機能やプロダクトが「成功する」と信じ込んで投入し、初期利用数が少ないときに撤退できなくなる。
対策:エビデンスに基づいたKPI管理を設定し、成果が出なければ仕様変更や撤退を検討するルールを導入する。
シーンと具体事例
シーン:マーケ会議で「この訴求文句、絶対響く」とチームで一致した直後の意思決定。
改善案:まず小規模でABテストを実施し、定量成果(クリック率や成約率)から判断する体制をまず構築する。仮に効果がなければ、早めに改善案を検討することを合意する。
デザイン観点でのチェックポイント
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初期仮説に固執しない:最初のインサイトは仮説として扱い、継続した検証を前提とする。
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反証データを可視化:否定的なデータもダッシュボードに載せ、多面的に意思決定できるようにする。
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フィードバック・ループの重視:仮説→検証→再構築のサイクルを設計プロセス内に組み込む。