言語や行動、表情などの質的情報を対象とし、テーマ探索や仮説構築に適している。
ユーザーがなぜその行動をとるのか、どう感じているのかを深層的に捉えるための重要な手法である。
定量調査では見えない、感情や動機、習慣などの背景を理解し、共感に基づくUXの根幹設計を支える役割を果たす。
数値による傾向把握と併用することで、プロダクトデザインの質は高まり、ユーザー中心の設計が実現できる。
提唱者
ドナルド・A.ノ−マン: https://www.amazon.co.jp/stores/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BBA%EF%BC%8E%E3%83%8E%E2%88%92%E3%83%9E%E3%83%B3/author/B000APP96A?ref=ap_rdr&isDramIntegrated=true&shoppingPortalEnabled=true
定性調査の起源は社会学・人類学・心理学に由来し、特定の単一提唱者は存在しない。しかし、ブルーノ・ラトゥールやミシェル・フィッシャーなどのフィールドワーク研究者が行動観察を通して、人々の文化やコンテキスト(コンテクスト)の理解を深める手法を普及させた。
UX領域では、ドナルド・A・ノーマン(Donald A. Norman)が『The Design of Everyday Things』(1988年)などで、ユーザーの行動や認知に注目した現象観察の重要性を説いたことで、UXデザインへの定性調査導入を促進した。
デザインにおける利用方法と定性調査の代表的手法
定性調査は、プロダクトやコンテンツ設計において、事実ではなく行動の理由や意図を掘り下げる探求に不可欠であり、以下のような手法が代表的である。
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ユーザーインタビュー
個別のユーザーに対して深く問いを重ね、本音や体験の詳細を引き出す。 -
ユーザビリティテスト
実際にプロトタイプを操作してもらい、課題や直感的でない操作を観察・分析する。 -
フィールド観察(エスノグラフィ)
現場環境でユーザーの行動と文脈を記録し、ユーザーが気づかない習慣や問題を可視化する。 -
カードソート/ワークショップ
ユーザーに分類や構成の発想をしてもらい、直感的な情報構造や思考プロセスを理解する。
プロダクト・コンテンツデザインに使えるシーンと具体的事例
シーン | 活用例 |
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新規サービスの要件定義 | ユーザーインタビューで「なぜ今この課題で困っているのか」を深掘りし、ペルソナやユーザージャーニーの質を高める。 |
UIプロトタイプ評価 | UXテストにより「このボタンの意味はわかるか?」を検証し、直感性とユーザー理解を設計に反映する。 |
コンテンツ構造の設計 | カードソートによって利用者が自然に分類する情報構造を設計し、ナビゲーションの整合性を強化する。 |
現場観察による体験の把握 | フィールド観察で実際のオフィスや店舗の利用環境を記録し、利用状況に応じたUI改善や環境設計を行う。 |