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身元のわかる犠牲者効果 Identifiable Victim Effect

統計的に多数の被害者を示されるよりも、具体的な1人の犠牲者に関する情報の方が、人々の共感や支援行動を強く引き起こす心理的傾向

統計的に「1万人の難民が危険にさらされている」と言われるよりも、「この子どもが支援を必要としている」と具体的に示された方が寄付や協力を集めやすい。この効果は心理学と行動経済学の両分野で広く議論されている。

提唱者

ポール・スロヴィック

ポール・スロヴィック

この効果は特定の一人によって提唱されたものではなく、心理学・行動経済学の研究の中で整理されてきた概念である。
特に有名なのは Paul Slovic(ポール・スロヴィック) らの研究である。

デザイン上の利用方法と事例

デザインやコンテンツの分野においては、抽象的な数字よりも具体的な人物像を提示することで、利用者の感情や行動を動かすことができる。

  • 寄付や募金キャンペーンのデザイン
    「〇〇万人が苦しんでいます」と数字を並べるより、「Aさん(名前・顔写真つき)の生活を助ける募金です」と示すと共感が得られやすい。

  • 社会課題を伝えるコンテンツ
    環境破壊や貧困問題を伝えるとき、統計データに加えて、被害を受ける個人の物語を提示すると理解が深まり、行動につながりやすい。

  • UXリサーチの提示資料
    調査結果を数字で報告するだけでなく、特定のユーザーの体験談(ペルソナやストーリー)を組み込むことで、チームの共感を引き出しやすい。

プロダクト・コンテンツデザインで「使える場面」

  • クラウドファンディング
    抽象的な支援理由よりも、1人の発案者や被害者の具体的なストーリーを前面に出すことで支援率を高められる。

  • CSR活動の広報
    企業が「〇〇円を寄付しました」と言うより、「この活動で○○さんの生活が改善しました」と伝える方が社会的な評価が高まりやすい。

  • NPOやNGOのキャンペーン
    多数の被害者を数字で伝えるだけでなく、「顔の見える1人」の物語を中心に据えることで共感を呼び、寄付や参加を促せる。

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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