「今日1,000円もらえる」 vs 「1週間後に1,000円もらえる」
→ 多くの人は「今日」を選びやすい。
これは、将来の価値を現在に引き直して考えると小さく見積もってしまうためである。
数理的表現
時間割引は、通常以下のようにモデル化される
指数割引モデル(exponential discounting)
V=A(1+r)tV = \frac{A}{(1+r)^t}
- VV:現在価値
- AA:将来受け取る価値
- rr:割引率
- tt:時間
双曲割引モデル(hyperbolic discounting)
V=A1+ktV = \frac{A}{1+kt}
- より心理実験の結果に近いモデル。
- 人は「近い将来」を強く割引するが、「遠い将来」はあまり割引しない。
デザインに関わる利用方法
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行動をすぐに促したいとき:
→ 割引や報酬を「今だけ」「すぐ手に入る」と伝えることで、ユーザーの行動を加速できる。 -
長期的な行動を促したいとき:
→ 将来の利益を「現在価値」として実感できる形に翻訳する(例:積み立て投資の未来の金額を「毎日コーヒー1杯分が将来〇万円になる」と示す)。
具体的な事例
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健康アプリ:運動の将来の健康効果を「今日の達成バッジ」や「すぐの小さなご褒美」に変換。
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サブスクサービス:「今申し込めば初月無料」といった短期的利得を強調。
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環境デザイン:「今行動しないと未来にこうなる」とビジュアル化して時間割引を抑える。
関連用語
- 現在バイアス(present bias):特に「今」を強く優先してしまう心理。
- 符号効果(sign effect):プラスの報酬とマイナスの損失で割引のされ方が異なる。