プロダクトやサービスの設計・開発において、人工知能(AI)の活用を前提に据える戦略的アプローチである。
従来の「モバイルファースト」がモバイル端末を中心にした設計思想であったように、AIファーストは「ユーザー体験をAIによって拡張・最適化すること」を出発点とする。すなわち、機能の追加や後付けではなく、最初からAIを中核に据えた体験設計を行うことを指す。
提唱者
この用語を広く知らしめたのは Google CEOのサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai) である。
2016年のGoogle I/Oで「モバイルファーストからAIファーストへ」という方針を示したことで世界的に普及した。
デザイン上の利用方法と具体的事例
利用方法
- パーソナライゼーション:AIによるユーザー行動分析をもとに、個別化されたUI・コンテンツを提示する。
- 予測型UX:ユーザーが操作する前に必要な情報や選択肢を提示し、次の行動を先回りして支援する。
- 会話型インターフェース:テキストや音声での自然なやりとりを設計に組み込む。
具体例
- Google Assistant:ユーザーの文脈に基づき、スケジュール提案や検索を先回りして提示する。
- Spotifyのレコメンド機能:AIがリスナーの行動データを解析し、Discover Weeklyのようなプレイリストを自動生成する。
- Eコマースの検索UI:ユーザーが商品名を曖昧に入力してもAIが解釈し、正しい商品候補を提示する。
プロダクト・コンテンツデザインの観点で「使える場面」
- オンボーディング設計:新規ユーザーがアプリに入った瞬間からAIがパーソナライズされた体験を提示し、定着率を高める。
- 情報過多の整理:AIが大量のコンテンツや商品から、ユーザーに最適な選択肢をレコメンドする。
- サポート設計:FAQや問い合わせ窓口にAIチャットを組み込み、ユーザーが自己解決できる体験を作る。
- アクセシビリティ向上:音声入力や画像認識を通じて、多様な利用者が快適にサービスを使えるようにする。