LangChainとは、主に6つのAI機能を活用することで高度なAIアプリケーションを開発しやすくするためのツールである。特に、エージェント機能は、単なるテキストの応答に留まらず、ウェブ検索や計算、データ処理といった実際の作業をAIに実行させる「自律的な動作」が可能になる。
- モデル:OpenAIのGPTやGoogleのGeminiなど、様々なAIモデルを簡単に切り替えて利用できる仕組み
- プロンプト:ユーザーの入力内容をAIが最も効率よく処理できる形に整える仕組み
- チェーン:複数のAIへの指示やモデルの処理を組み合わせて、一連の作業を自動的に進める仕組み
- インデックス:AIが学習していない独自のデータベースやドキュメントといった外部データソースを参照する仕組み
- メモリ:チャットボットのような長期的な対話において、会話の履歴や状況をAIが忘れずに覚える仕組み
- エージェント:タスクや状況に応じてAI自身が判断し、作業を自律的に処理する仕組み
提唱者
機械学習のスタートアップ企業で働くエンジニア、Harrison Chase氏が「AIと他のデータを簡単につなぐための道具」としてLangChainを開発し、2022年10月に公開した。オープンソース(誰でも無料で使える形)で公開したことが、大きく広まるきっかけとなった。
https://www.ted.com/talks/harrison_chase_the_magical_ai_assistants_of_the_future_and_the_engineering_behind_them
AIと周辺機能をつなぐ設計がプロダクト価値を決める
LangChainが作られた根本的な考え方は、LLMの能力を最大限に引き出すには、データの収集、情報の処理、状況の理解、そして外部システムとの連携といった「周辺の機能」を一つにまとめ、整理することが不可欠だという認識に基づいている。AIモデルをいかに効率よく、そして柔軟に外部のシステムとつなぎ、利用者がストレスなく使えるようにするかという「全体をつなげる設計力」こそが、今後のプロダクト価値を決める鍵となる。
いくつもの調査作業プロセスをエージェントで自動化
AIに調査を自動でやらせる仕組み(LangChainのエージェント機能)を使えば、これまで面倒だった作業を効率化できる。たとえば、「最新の市場動向レポートを作って」と普段話すような自然な言葉で指示を出すだけで、すぐにWeb検索で必要な情報を集め、その情報から重要なポイントを抜き出し、レポートの構成案まで作ってしまう。さらに、必要であればグラフを作る機能なども自動で呼び出し、一連の手順をすべて統合し、最終的なレポートのたたき台を自動で完成させる。この結果、専門家は日常的なデータ収集や比較、整理といった複数のステップが必要な調査業務から解放される。AIが用意した情報の分析や、そこから本質的な気づきを得るといった、より付加価値の高い仕事に集中できるようになる。