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見方の転換 Aspect Perception

同一の対象や状況に対して、観察者がある瞬間にそれまでとは異なる意味や解釈を見出すことを指す

知覚や認識のレベルで起こるものであり、単なる「視点の変更」とは異なり、「ものの見え方そのものが変化する経験」を含意する。たとえば、「ウサギとアヒル図形」に代表されるように、一つの絵がウサギにもアヒルにも見える現象は、典型的な見方の転換である。

提唱者と背景

ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン

ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(Ludwig Wittgenstein)(引用)https://medium.com/curious/an-introduction-to-ludwig-wittgenstein-e866ec78ed06

この概念は哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインによって提唱された。
彼は著作『哲学探究』(Philosophical Investigations)において「アスペクトを見る(seeing-as)」という表現を用い、知覚における言語と文脈の影響について哲学的に論じた。

デザインにおける活用法

1. UIの「ヒント再提示」における見方の転換

利用方法:ユーザーが初回に意味を取り違えても、別の文脈やタイミングで同じUI要素が新たな意味を持って再解釈されるよう設計する。

具体例

  • アプリの初回オンボーディングでは「メモ」ボタンに気づかないが、二回目の利用時に「保存できる」ことを明示すると、ボタンの役割に対する「見方」が変化し、行動に繋がる。

2. エラーや違和感の解消体験

利用方法:ユーザーが間違った行動をした際に、「こういう意図だったのか」と納得するような再解釈を促す。

具体例

  • 入力ミスがあるとエラーではなく、「形式はこういう意味で求めていました」と文脈を示す。
  • これにより「システムが厳しい」→「ルールに意味がある」という見方の転換が起きる。

3. プロダクトの概念転換に

利用方法:あるプロダクトの価値や立ち位置を、従来とは異なる視点から再定義することでユーザーの理解を促進する。

具体例

  • 「これは単なるメモアプリではなく、あなたの行動記録を支える“パートナー”です」と再定義し、継続率向上に寄与。

この場面で使えるシーン

シーン 見方の転換が有効な理由
複雑なダッシュボードの理解 初見では雑多に見えるUIも、「全体→部分」の流れを示すと整理される
新サービスの説明 旧来の分類(例:家計簿)に属さない機能でも、メタファーの転換で納得感が生まれる
ユーザー行動ログの可視化 「監視されている」ではなく、「自分を知るための鏡」として捉え直す
学習アプリの設計 「教わる」から「自ら問いを立てる」への転換でエンゲージメントを高める
「見方の転換」は、単なる視覚トリックにとどまらず、ユーザーがプロダクトをどのように意味づけるかに深く関わる心理的現象である。
はぁーUXやコンテンツデザインにおいては、ユーザーが誤解した後に“そうだったのか”と気づくような転換点を設計することが、エンゲージメントや継続率を高める鍵となるである。

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UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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