「バーダー・マインホフ現象」とは、脳の「選択的注意」と「確証バイアス」が作用して起きる認知現象のことで、frequency illusionまたはrecency illusionとも呼ばれる。
たとえば、ある人が図鑑で特徴的な植物を見て「こんなヘンな木は見たことがない、自分は今までこの木を一度も見ていないだろう」と確信したが、その木について知った直後に、近所に同じ木が植えられているのを発見するようになったという。
選択的注意:
複数の情報が溢れている中で特定の情報に選択的に注意を向けること。代表的な例としては、大勢が話をしているにぎやかな場所でも、自分の名前や関連する言葉、相手の会話は聞き取ることができるというカクテルパーティ効果が挙げられる。
複数の情報が溢れている中で特定の情報に選択的に注意を向けること。代表的な例としては、大勢が話をしているにぎやかな場所でも、自分の名前や関連する言葉、相手の会話は聞き取ることができるというカクテルパーティ効果が挙げられる。
確証バイアス:
自分に都合の良い情報ばかりを集め、それ以外の情報は無視、または集めようとしない傾向のこと。
自分に都合の良い情報ばかりを集め、それ以外の情報は無視、または集めようとしない傾向のこと。
バーダー・マインホフ現象のメカニズム
- 今まで身の回りに存在し出会っていても意識していなかったものが、自分にとって新しい知識や情報となって認識したときに、脳は「新しいことを学んだ!」と興奮状態になり、選択的注意が無意識に働きはじめる。
- 脳は学んだ情報と近い、または同じパターンを見つけようとしている状態なので、その後の生活の中でそのパターンに気づきやすくなる。
- 何度かそのパターンに気づくことがあれば、確証バイアスの作用により「なんだか急に目にするようになったな」という思い込みが強くなる。
名前の由来
1994年10月16日にSt. Paul Pioneer Pressという新聞に寄せられた読者投稿から、この現象が有名になったといわれている。
新聞の読者だったTerry Mullenは、1970年代に存在したドイツ赤軍のバーダー・マインホフ(テロリストグループ)の話を友人と話をした翌日に、同じ友人から「ニュースでそのテロリストグループに関する話を目にした!」という連絡を受け驚いたというエピソードの投稿を行った。
テリーの体験談の投稿以降、他の読者からも自らの同じような体験談を次々に投稿したため、認識したとたんによく目にするようになったと感じる現象は「バーダー・マインホフ現象」という名称で広まっていった。
参考文献
参考サイト
- The Baader-Meinhof Phenomenon: Didn’t I Just Hear About That?
- Is That New Word You Learned Showing Up Everywhere? That’s the Baader-Meinhof Phenomenon
- WIKIPEDIA