前提や過程ではなく、結論の“信じやすさ”が判断を左右するため、論理的に飛躍した結論が正当化されやすくなる。
提唱者と背景

Jonathan Evans 引用:https://researchportal.plymouth.ac.uk/en/persons/jonathan-evans
信念バイアスは心理学的に研究されており、特定の「提唱者」は存在しないものの、Jonathan Evansらの形式論理の実験的研究を通じて体系的に明らかにされている。また、カーネマンとトベルスキーのヒューリスティック・バイアス研究とも密接に関連している。
デザイン上での利用方法・具体事例
① プロダクトの意思決定会議
問題点:「この機能、使いやすそう」など感覚的に“信じたい”結論が優先されると、論理的根拠やユーザーデータが後回しになる。
対策:要件は「使いやすそう」だけでなく、「ユーザーテストで80%が成功」といった客観的根拠で支持する。
② コンテンツ設計・メッセージング
問題点:「このキャッチコピー良さそう」だけで採用し、実際の反応検証を行わないと、実ユーザーに響かない可能性がある。
対策:コピーのA/Bテストを実施し、「CTAクリック率が15%改善」といった成果を前提に判断する。
③ UXレビュー・ユーザーインタビュー
問題点:開発者やデザイナーが「このUIは直感的に良い」と信じ、その理由付けを疎かにすると、後でユーザーに不明瞭な構造が暴露される。
対策:「なぜそう思うのか」「ユーザーにも直感的か」を検証し、仮説の検証を行う。
シーンと具体事例
シーン:リリース直前の社内確認会
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誤りがちな状況:「管理画面、このボタン配置合理的に見えるよね?」と直感だけで設計判断。
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改善例:「直感で良いと思ったが、ユーザーテストでは30%が混乱。(実測データ)」と具体的な事実と共に修正案を提案し、正当性ある判断を行う。
デザイン観点でのチェックポイント
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結論よりもプロセス重視:結論が魅力的でも、前提や論理構造に飛躍がないかを確認する。
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客観的データ併用:直感+質的・量的データを併せてバランスよく評価する。
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反例・反論を積極的に探す:「いや、それって本当にそう?」と疑う視点を取り入れる。
参考資料
- Belief Bias, Polarization, and Potential Solutions(信念バイアス、分極化、そして潜在的な解決策)
- 批判的思考の能力,態度と信念バイアス課題の関連(PDF)
関連用語
まとめ
信念バイアスを意識すれば、プロダクトやコンテンツの設計において、感覚や希望だけではなく、論理的整合と実データに基づく判断を行えるようになる