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ディープラーニング deep learning

人工知能実現のためのアプローチである機械学習の実装手法のひとつ。従来の機械学習の実装手法とは識別するための学習方法が異なり、大量のデータから自動的に識別に必要な特徴を見つけ出す。深層学習とも呼ばれる。

従来の機械学習では人間が識別のための特徴を指示していたが、ディープラーニングでは、大量のデータから自動的に識別に必要な特徴を見つけ出し識別をすることができる。

例えば画像認識でいえば、見分けるための特徴を人間が与えるのが従来の機械学習、人間の介在なしで自動で特徴量を抽出するのがディープラーニングである。

人工知能(AI)・機械学習・ディープラーニングの関係

ディープラーニングは機械学習、人工知能の包含関係にある。

人工知能、機械学習、ディープラーニングの位置付け

人工知能(AI): 1950年代〜

人工知能とは、人間と同等以上の感覚・判断力を備え、人間と同じように考える機械・プログラムをさす広範な概念である。このような汎用的な人口知能はまだ完成させられておらず、現在に至るまで様々なアプローチで、特定の領域に特化した特化型AIの開発が行われてきた。

特化型AIが実現している特定領域とは、顔の自動認識などの画像認識や音声認識などがある。

機械学習: 1980年代〜

機械学習とは、人工知能実現のためのアプローチで、特定の事象についてデータを解析し、その結果から学習して、判断や予測を行うためのアルゴリズムを使用する手法である。

通常のプログラミングのように特定のタスクを完了するために明確な手順を人間がコーディングするのではなく、機械学習では大量のデータを読み込ませ、自発的にルールを見出し処理を行うことができるようにする。

大まかに、教師あり学習と教師なし学習に分類される。

ディープラーニング: 2012年〜

ディープラーニングは、機械学習を実装するための手法のひとつである。

2012年のGoogleでのコンピューターが猫を識別することに成功した際の機械学習の方法に端を発する。

これまでの機械学習手法では人間が「猫」の特徴を与えて画像の識別をさせていた。ディープラーニングでは、人間が特徴情報をコンピューターに与えなくても、コンピューターは自動的に大量の画像から猫の特徴を見つけ出し、猫の画像と認識できた。

ディープラーニングは大量のデータ処理とニューラルネットワーク、処理の階層化によって特徴の自動抽出を高い精度で実現することが可能となった。

従来の機械学習は処理を一段階で行なっていたため、複雑なデータを正しく処理することが難しいという問題点があった。処理の結果をさらに処理をすることで階層的に処理を行うディープラーニングという手法が編み出された。

 

ディープラーニングの特徴

ニューラルネットワークと処理の階層化

ディープラーニングを実現するための手法。人間の脳を模倣した計算アルゴリズムのモデルである。人間の脳には多数の神経細胞(ニューロン)が存在しており、各ニューロン同士がそれぞれに信号を受け渡し、情報処理を行っている。

ニューラルネットワークは「入力層」「隠れ層」「出力層」の3層構造で成り立っており、保管または管理されるデータの上で分類作業を行う層とも言うことができる。

ディープラーニングの特徴は機械学習処理の階層化であるが、特にこのニューラルネットワークの隠れ層が2つ以上ある多層処理がディープラーニングであるとされている。

ニューラルネットワーク信号の階層図

3層完全結合をもつ階層型ニューラルネットワーク

大量のデータ処理

ニューラルネットワークの理論やディープラーニングの基礎は以前から存在していたが、当時の状況ではディープラーニングに必要な大量のデータを用意することができなかった。

しかし、近年のインターネットの普及によって状況が変化しデータを大量に用意することが可能になった。

  • あらゆる種類の膨大なデータ(ビッグデータ)の取得が容易になった
  • 実質的にデータ保存領域が無限になった

大量のデータ処理にはコンピューターの計算処理能力の高さが必要不可欠だが、速く・安く・強力な並列処理を実現できるGPUの普及によって現実的な時間でビッグデータを処理できるようになった。

GPUとは、Graphics Processing Unitの略で、コンピューターにおける処理のうち、画像処理を得意とする処理装置のことである。

GPUを生産している代表的な企業であるNVIDIAは、これにより人工知能分野においても重要企業として注目を集めるようになった。

 

ディープラーニングの功績

ディープラーニングが生まれる前までは、人工知能分野全体があまり実用的な状態ではなかった。

ディープラーニングによって、学習コスト・速度・判別精度のブレイクスルーを迎えたことと、それまで積み重ねられていた人工知能理論の研究結果が合わさり、人工知能分野全体で様々なアイデアの実用化の見込みが立つようになった。

画像認識精度のグラフ

ディープラーニングによる画像認識精度のブレークスルー
(引用:【図解】なぜGPUはディープラーニング・AI開発に向いているの?選び方は?NVIDIAさんに聞いてきました

IBMやGoogleなどの企業が続々と成果を世間に知らしめると、2010年代半ば以降の爆発的な人工知能ムーブメントが巻き起こった。

ディープラーニングの活用の例

ショッピングサイト:どの商品をユーザーがクリックしたかという情報を元に、どの商品を好む傾向にあるかを分析し、提案してくれる。

医療分野:遺伝子やMRIなどのデータから病気を判別することが可能になってきている。

自動運転:標識や信号機を自動的に認識させることや、歩行者検知にも使われており、事故の減少に役立てられる。

ディープラーニングに注力している企業の例

IBM:2011年、Watsonは米国のクイズ番組でクイズ王と対戦し、勝利した。ダジャレや、同義語・同音異義語、俗語・専門用語など、あいまいな表現を含む自然言語で出題される問題に答えられるよう学習して対戦に臨んだという。

Google:GoogleのAndroid4.3は、音声認識にディープラーニング技術を活用することで、精度を25%から50%に向上させた。2012年に大量の画像から解析学習をし猫の画像を認識させたことで話題となった。

Amazon:Amazonのレコメンデーション機能でも機械学習の技術が活用されており、また、2017年に日本でも発売されたAlexaにも技術が使われている。

関連用語

参考文献

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