奥行き知覚
Depth perception

平面や空間を三次元として知覚すること

平面や空間において観察者から対象までを三次元として知覚すること。
人間は視覚・聴覚・触覚など様々な手がかりをもとに三次元として空間を把握して、距離を測り奥行きを感知する。平面で表現されていても、奥行きを感じる手がかりがあると三次元として知覚される。

視覚による奥行き感知

奥行きの手がかりを感じる感覚の中でも、最も安定して感知することができるものが視覚である。
奥行きの視覚的手がかりは単眼性、両眼性の2種類に分類される。

単眼性

平面に描写され片眼で見ても有効である絵画的な奥行きの手がかり。

・相対的大きさ
対象物の大きさを知っている場合には、その大きさを手がかりにその対象物までの距離を図ることができる。

(引用:Relative Size
上記の写真の中にいくつか街灯が並んでいる。実際には同じサイズの街灯であるが、2次元である写真の中では一般的に小さいものの方が距離が遠いと認識する。

・線遠近法
平行線は遠ざかるほど、一点に収束する。

最後の晩餐(引用:Wikipedia
背景の建物の壁を一点に収束させる線で描き、3次元空間を表現している。

・重なり
対象物が別の対象物を覆っている場合は、覆っている対象物が手前に知覚される。

上の画像はひとつの図形でなく、青い四角の上に赤い丸が重なっていると認識されやすい。

・大気遠近法
遠くにある対象物は明瞭度が低下する。

落ち穂拾い(引用:Wikipedia
奥の風景の明瞭度を落とし薄い色にすることで、手前の人物を強調している。

・きめの勾配
一様な模様が広がっている場合は、遠くになるほどきめが細かくなる。 

・運動視差
観察者が移動している場合、ある対象を基準にしたとき(注意対象)、注意対象よりも遠くにある対象物は観察者と同じ方向に移動しているように見え、注意対象よりも近くにある対象物は反対方向に移動しているように見える。

例えば車に乗っている時に、近くのガードレールは素早く移動しているように見えるが、遠くの山は車と同じ方向にゆっくりと動いているように見えるのも一例である。
人は一般的に同じ方向に動く複数の要素は同じグループだと認識することによるものである。(参考:共通運命の法則

交通事故にも通じる錯覚

見通しの良い空間で、向かい合って進んでいる2台の車が互いを認識できず、事故を起こしやすいという現象も良く知られている。これは動きの少ない遠方の風景をバックに、互いの車が相対的には位置を変えずに動くため、相手の車を動いている物体と認識できないことから起きるものである。
このように人間の目は、動いているものに比べて停止しているものを見つけにくいとされている。(コリジョンコース現象


運動視差(引用:Wikipedia

両眼性

三次元空間内で対象物を見る場合の、両眼視差による手がかり。

・輻輳(ふくそう)
両眼で一点を凝視するときに、両眼が交わる角度を輻輳角と呼ぶ。対象物が近くにあるときはこの角度が大きくなり、遠くにあるときは角度が小さくなる。

・両眼視差
人間の眼は左右にずれているので、ひとつの対象物がそれぞれの眼にはずれて見える。このずれを脳内で処理することで、対象の奥行きを知覚している。

デザインへの応用

PCやスマートフォンの画面も二次元ではあるが、人間は奥行きを知覚していることを応用すると使いやすいUIを作る手がかりともなる。
画面は平面なので、通常は単眼性のものが応用される。

・ドロップシャドウ
画面上の文字や物体に影をつけることで奥行きを出し、ボタンなどとして認識してもらう。

・パララックス効果
スクロールなどの動作で異なるレイヤーを異なる速度で動かすことで奥行きを表現する。

・マテリアルデザイン
重なりや奥行きを効果的に使うためにルールが定義されている。
Elevation
https://material.io/design/environment/elevation.html
Light and shadows
https://material.io/design/environment/light-shadows.html

関連用語

参考文献・記事

この記事を書いた人:山田 和広

株式会社PR TIMES エンジニア。
2000年慶應義塾大学環境情報学部卒業。新卒でWEB制作会社に入社。その後、映画宣伝会社でハリウッド映画等の公式サイト作成・オンライン宣伝企画を担当。2014年4月PR TIMESへフロントエンド・エンジニアとして入社し、サービスの企画・開発を行っています。