人が何も考えずに行動した跡のことを指す。本能的に近い道を通りたくなる習性があり、目的地に行くために近道を多くの人々がすることで、道でない場所の痕跡である。
身近な例だと、整備された道でない芝生の場所を人々が通り道として使った跡がみられる。
デジタルプロダクトにおいても希望線はあり、ユーザー行動の痕跡が制作者が意図した通りでないものを指す。
人は必ずしも道の上だけを歩くのではない
道がある場合、人はそれを「歩くべき場所」と判断し道にそって歩く。
しかし時折、道の設計者の意図や“人は道の通りに歩くもの”というバイアスにとらわれずに便利だと感じた場所に自ら道を作ることがある。
ディズニーランドが誕生した際には、芝生に道を作らなかったと言われている。
参考記事:Your Users’ Desire Paths Pave the Way to Better UX
デジタルプロダクトの希望線
ユーザビリティテストと行うと、ユーザーは制作者側が予想していない行動に気がつくことがある。ユーザー自身の目的を達成するために最短ルートを探した行動は、希望線といえる。
希望線に沿った改善はユーザービリティ向上に効果的である。
Twitterにおける希望線
初期のTwitterでは、ハッシュタグは公的に存在していなかった。
しかし、単語やキーワードのみの検索では余計な情報が表示されることや、思った検索結果にならないため、ユーザーは、ハッシュタグを用いてのキーワードを追加するようになった。
自然発生的に広まったハッシュタグは、Twitter社の公式となった。
Pave the Cowpath(牛の道を舗装する)との違い
Pave the Cowpath(牛の道を舗装する)とは、仕事を早く終わらせるために既存の運用プロセスを自動化することや、先人の作ってきた実装を元にして新しい仕様を作るという意味で使われる。
既に行動によって自然発生した道に従うことは、新しい道を考えることよりも容易であり目的地に到達するのもスムーズであることから、希望線と同じような意味で使われることがあるが、「古いプロセスを検討せずにそのまま使う」という悪い例として使われることもある。