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ゴールシグナルメトリックス Goals–Signals–Metrics

プロダクトや機能における「何を達成したいか(ゴール)」 → 「達成の兆しは何か(シグナル)」 → 「具体的な計測指標は何か(メトリクス)」の構造を明確化するフレームワーク

Google発の方法論として知られ、「HEART」フレームワークと組み合わせてUXやビジネス成果の可視化に活用されている。GSMと略される。

本フレームワークはGoogleのプロダクトチームによって開発されたものである。

形式としてはSrinivas PillayやKerry Roddenらがかかわった「HEART」に続くプロセスとして、Design Sprint Kitなど公式資料にも採用されている
明確な個人名は少ないが、Google内部で実践と普及が行われた手法である。

デザインへの応用と具体事例

1. 新機能リリース時のKPI設計

  • ゴール:「この機能で初回オンボーディング率を向上させる」
  • シグナル:「初回登録完了後24時間以内にユーザー操作がある」「チュートリアル完了率が高い」
  • メトリクス:「24時間以内アクティブ率 60%」「チュートリアル完了率 80%」を設定し、ダッシュボードに表示する。

2. UX改善施策のフォーカス決定

  • ゴール:「ユーザー満足度(Happiness)を高める」
  • シグナル:「NPSのポジティブコメント」「ヘルプボタンの利用減少」
  • メトリクス:「NPS+コメント率」「ヘルプクリック率の月次変化」を追う。

3. 帰結-driven のチーム合意形成

チーム全員で「ゴール→シグナル→メトリクス」の一連をワークショップ形式で構築し、「数値より先にゴールを揃える」文化を醸成。

「この場面に使えるかな?」シーンと事例

シーン:ダッシュボードを使ったプロダクト改善会議において、「CTRが増えたから成功」とだけ判断しようとしている場面。

  • 改善例:「CTR増加はQ(シグナル)であり、P(UI改善)が唯一の要因とは限らない」と注意し、
    「A/Bテスト実施 → UI改善前後で比較」までの流れを設計し、**ゴールに即したメトリクスを用意する(例:CTR+離脱率+継続率)**ことで議論の安定化と効果測定を支援。

GSM活用で注意すべきポイント

  • ゴールはアウトカム型(例:回遊率向上など定量と目的が一致するもの)とし、単なるアウトプット(例:ページビュー)にとどめない。
  • シグナルは観察可能な行動やユーザーの態度であること。
  • メトリクスは数値化可能かつ期限付き(例:「◯月までに◯%改善」)である必要がある。
  • HEART等のカテゴリと組み合わせて、複数視点からの評価軸を構築できるとより有効。

GSMは、チーム全体で「目的 → 仮説 → 数値評価」の流れを整えるためのフレームワークである。

UX改善、機能リリース、プロダクト成長戦略など、さまざまな場面で定性的な意図と定量的な成果をつなげる設計コミュニケーションツールとして活用できる。

参考リンク

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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