HCIの対象分野
HCI(Human Computer Interaction)は、人間とコンピューターの相互のコミュニケーションを行うためのインタラクションである。 インタラクションとは、inter(相互に)とaction(作用)したという意味で、人間が何かアクション(操作や行動)をした時、そのアクションが一方通行にならず、相手側のシステムなり機器がそのアクションに対応したリアクションを指す。
HCIの構成要素は、コンピューター科学・人間工学・心理学・社会学という様々な分野が複合されている。転じて、コンピューターにどのような接点(インターフェース)や機能を持たせるべきかという、人とコンピューターの関係性における学問と日本では学問の分野としても認識されている。
HCIの対象は、人間からコンピューターに対する適切なコミュニケーションができるようなインターフェースの研究/改善だけでなく、コンピューターから人間に対する適切なコミュニケーションができるような処理速度の研究/改善も含まれる。
HCIの分野は多岐に渡るため、ここでは、ウェブデザインやユーザビリティに関わるインターフェース評価に焦点を当てる。
「共通性」による評価
多くのソフトウェアにおいては、[Ctrl]+[S]というショートカットキーでファイルの保存を行う。それによってユーザーは初めて使用するソフトウェアだとしても、保存したいと考えた時に[Ctrl]+[S]を押す可能性がある。
ところが[Ctrl]+[S]がソフトウェアの強制終了を行うショートカットとして定義されていた場合は、ユーザーにとって不都合な結果をもたらされてしまう。
同様のことがボタンの配色でも見受けられる。グレーアウトしているボタンは押すことができないというアフォーダンスを含んでいるため、グレーアウトしたボタンが仮に押せたとしてもユーザーは押そうとしない。
常日頃からの経験で「保存をするときは[Ctrl]+[S]を押す」「グレーのボタンは押すことができない」というメンタルモデルが形成されていることに起因する。そのため、人間がコンピューターに対する理解の「共通性」を崩さないような設計・デザインが必要である。
「応答速度」による評価
画面遷移するためのボタンを押した際に、画面が遷移しないと再度ボタンを押すことがある。これは、ユーザーが反応していないと認識してしまっているためである。
単純な画面遷移ならボタンを2度押すことで、ユーザーへの悪影響は起こらないだろう。しかし、ECサイトにおいて購入処理が行われるボタンであれば話が変わる。
購入ボタンを押した際に反応が無くとも、もう一度ボタンを押すことで、ユーザーは意図せず同じものを購入してしまう恐れがある。ユーザーは重複して購入することを恐れて、ECサイトを閉じてしまう可能性がある。
コンピューターが応答するのに10秒以上かかる場合は、ユーザーがその後の処理を継続する可能性が極端に低下すると言われている。
参考文献と関連記事
参考文献:http://csunplugged.jp/csfg/index.php?HumanComputerInteraction
関連記事:HCI Research と UX 実践 の関係について
関連用語:メンタルモデル