パソコンやスマートフォン、プリンタ、ゲーム機など、これまでインターネットに接続されていた機器以外(車・照明、冷蔵庫など)に通信機能を搭載し、インターネットへ接続可能にすることで、スマートフォンで取得した情報を冷蔵庫に共有するといった、インターネットを用いた機器同士の情報のやりとりが可能となった。IoTを用いた新しいサービスを作る際は、ユーザの生活に寄り添っているかを考慮する必要がある。
IoTとは、「Internet of Things」の頭文字をとったもので、直訳すると「モノのインターネット」になる。製品同士がインターネットに接続され、互いに情報交換することで機器の制御を行う仕組みを指す。
1999年にイギリスの技術者Kevin Ashtonケビン・アシュトン氏がインターネットが物理世界を繋ぐシステムをInternet of Things(モノのインターネット)と名付けた。
IoTを構成する4要素と仕組み
IoTはセンサー、クラウド、人工知能、アクチュエートという4つの流れで動いている。
まず、「センサー」でモノから情報を収集する。インターネットを経由して「クラウド」にデータが蓄積され、蓄積したデータを「人工知能」が分析する。分析結果に応じて、その時、最も最適だと思われる結果を「アクチュエート(フィードバック)」することでIoTを使えている状態となる。
IoTの全体像
センサー
モノの現在の状況を取得するために使用される。
温度や湿度であれば「温湿度センサー」、光であれば「照度センサー」など取得したい情報によって使用するセンサーが異なる。
例えば、スマートウォッチは脈波センサーを使って、心拍数などの血管情報を取得している。
センサーでモノの現在の状況を取得
クラウド
センサーから取得したデータを蓄積するために使用される。
センサーから送られてくるデータは膨大であるため、HDDなど従来の物理的なハードディスクに保存する方法では容量が足りず、処理が難しかった。自身で物理的なハードを用意する必要のないインターネット上のクラウドサーバーを使用することで、膨大なデータの蓄積が可能となった。
また、モノ側に記憶媒体を組み込む必要がないため、モノの小型化にも繋がっている。
クラウドにデータを蓄積
人工知能
クラウドに格納したデータを分析するために使用される。
クラウド上に蓄積された膨大なデータは、そのままでは使えない。人工知能を使用し分析することで、膨大なデータから似たような規則性を見つけだし、ユーザーに提案できるようになる。
スマートウォッチの例では、センサーで取得した身体情報を、クラウドに保存されている情報と比較して、正常な血管情報であるかを分析する。
人工知能でデータを分析
アクチュエート
actuateアクチュエートは、人・機械などを「作動させる」といった意味を持ち、モノからユーザーにセンサーの情報や人工知能で分析した結果をユーザーにフィードバックすることを指す。
スマートウォッチの例では、センサーで身体情報を取得し、クラウド上のデータと比較して正常値ではない場合は、使用者にアラートを通知する。
ユーザーにアクチュエート
IoTデバイスがある生活
IoTデバイスを日常に取り入れ、活用している例を紹介する。
起床
あらかじめ設定しておいた起床時間に、スマートスピーカーのアラームが鳴り目が覚める。
「おはよう」の声をトリガーにカーテンが開き、コーヒーメーカーがコーヒー豆を挽き始め、テレビの電源がつく。
朝食
カーテンを開けても部屋の中が少し暗かったので、「電気をつけて」と声をかけ照明をつけた。
朝食中に、テレビのチャンネルを変えたくなったので「チャンネル変えて」の声でチャンネル操作を行う。
出社準備
スマートスピーカーから天気やニュース、電車の運行情報を聴きながら出社の準備を進める。
また、部屋は温度・湿度センサーの情報を元に自動でON/OFFするように設定しているため、一定に保たれている。
出社
家を出る際に「行ってきます」と言って稼働させていた電気、エアコン、加湿器、テレビを消す。
生活に寄り添ったデザインが必要
IoTデバイスは生活に密着しているものが多いため、わかりやすい通知や音の使い方など使う場所や時間を考慮した使いやすいデザインが求められる。常にIoTデバイスを使わなければいけなくなるような「中毒になるデザイン」は一時的にユーザー数を増やすことができるが、人々の生活に悪影響を与えてしまい、長期的な目で見るとユーザー数の増加が見込めなくなってしまう。生活の中でIoTデバイスがどう機能するのかを考え、ユーザーの負担にならないようにデザインすることが必要である。