TOP UX用語 思考・マインド・バイアス リンディ効果

リンディ効果 Lindy effect

あるアイデアや技術、製品などが長く存続しているほど、将来的にも長く存続し続ける可能性が高いという経験則

ある非消耗的なもの(情報・アイデア・技術など)がこれまでに存続してきた期間が長ければ長いほど、将来も存続し続ける可能性が高くなるという、非腐敗物の将来の寿命が、現在の年齢に比例することを提唱する理論である。これは時間に対する耐久性が、その対象の信頼性や価値を示しているとする見方である。

何かが現在に存在し、あるいは使用されるために生存した期間が長ければ長いほど、その残存寿命が長くなると提唱している。
つまり、あるものが現在まで生き残っている期間が長いほど、将来の残存寿命も長くなるということである。

たとえば、シェイクスピアの戯曲や禅の思想のように、何世代にもわたって受け継がれ評価されている文化的・思想的資産は、今後も長く支持され続ける可能性が高い。このように、書物(情報や教育)・商品のような腐らないものの将来の寿命が、現在の年齢に比例するという理論的な現象を主に指す。

提唱者

この概念は、ニューヨーク市ののレストラン「リンディLindy’s delicatessen」でコメディアンやパフォーマーたちが「ショーが続いている時間が長ければ長いほど、今後も続く可能性が高い」と話していたことに由来する。これを理論化したのは、統計学者の ブノワ・マンデルブロ であり、現代では思想家・作家である ナシム・ニコラス・タレブ氏 が著書『反脆弱性』などで広く紹介した。

  • ブノワ・マンデルブロ(Benoit Mandelbrot)
    フラクタル理論の提唱者。リンディ効果の数学的背景に触れた。

  • ナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)
    『ブラック・スワン』『反脆弱性』などでリンディ効果を発展的に紹介。
    写真: Wikipedia – Nassim Nicholas Taleb

デザインにおける利用方法と具体例

活用例1:信頼性の訴求

長く使われてきたインターフェースや情報設計のパターンは信頼性が高いという判断基準に基づき、プロダクトのUX/UIに活かすことができる。

例:

  • Webの「ハンバーガーメニュー」や「バスケットアイコン」など、数十年続く慣習的デザインは変更せず継続採用する。
  • 読書アプリで「しおり」「ページ送り」など紙のメタファーを活用する。

活用例2:情報の信頼性評価

新しい情報よりも「長い間読み継がれてきた知見・データ・言説」に価値を置く設計が可能。

例:

  • ナレッジ共有サービスにおいて、「投稿日時」よりも「存続年数」や「引用数」で並び替えるオプションを設ける。
  • FAQやガイド記事に「◯年以上読まれている」といった表現を加え、信頼性を示す。

この場面に使える

シーン 使える理由
UIデザインパターンの選定 長期的に支持されているものは、学習コストが低く信頼されやすい
情報アーキテクチャ設計 古典的な分類・階層構造は廃れにくく安定して使われる
コンテンツ評価軸の設計 「新しさ」だけでなく「古さと価値の持続性」を評価軸に加えられる

デザインにおける活用法と具体例

デザイン領域においては、リンディ効果の視点を活かすことで、次のような価値ある判断が可能になる。

  • 長く使われているデザイン原則の活用
    例:ゲシュタルト原則やヒッコの法則など、長年にわたり有効性が確認されてきた心理学的原理は、今後も通用しやすく、安定したユーザー体験を提供する基盤となる。

  • トレンドではなく原則を重視する設計
    一過性の流行に振り回されるのではなく、タイポグラフィやレイアウトの古典的なルール、グリッドシステムなど、時間を超えて機能してきた設計思想を重視することで、プロダクトの寿命や信頼性を高められる。

  • リブランディングや長寿プロダクトへの応用
    長寿ブランドや製品において、意図的に「古くからあるもの」としての重みを演出する(例:伝統的な意匠の復活や、過去のアーカイブの再活用)ことで、ユーザーに「これは今後も残るものだ」という安心感を与えることができる。

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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