「自分が何を知っていて、何を知らないか」「今の理解は正確か」「この方法で学ぶのが効果的か」など、自らの思考や学習、判断過程を一段上から見つめる能力を意味する。
提唱者

ジョン・H・フラベル 引用:https://www.amacad.org/person/john-hurley-flavell
1970年代にアメリカの心理学者ジョン・H・フラベル(John H. Flavell)によって提唱された。
彼は、子どもの発達過程における認知制御の重要性を説く中で、メタ認知という枠組みを提示した。
デザイン上に関わる利用方法
UXデザインやコンテンツ設計において、メタ認知は以下のような形で活用される。
① ユーザーの自己評価を支援する
たとえば、学習アプリにおいて「この問題が難しかった」「理解できていないかもしれない」といった自己評価を促すフィードバック機能を実装することで、学習の効率が高まる設計が可能となる。
② ユーザーの判断を振り返らせるUI設計
買い物や金融サービスなどで「この選択で本当にいいのか?」とユーザーが自問する余地を設けることで、誤解や後悔を減らすインターフェースが構築できる。
③ チュートリアルやヒントの提示タイミング
ユーザーの行動履歴から「迷っている」兆候を読み取り、適切なタイミングでナッジ(行動のきっかけ)を与える設計は、ユーザー自身の思考状況への気づきを助ける仕組みである。
具体的な事例
eラーニングアプリの自己評価チェック機能
デジタル学習プラットフォーム「Khan Academy」では、学習者が問題を解いたあとに「理解度を自己評価する」インターフェースがある。これにより、ユーザーは自分の学習状況を客観視し、必要に応じて復習や再挑戦を選択できる。
これはまさにメタ認知の活用であり、継続的な学びと満足度向上につながっている。
参考文献
- Flavell, J. H. (1979). Metacognition and Cognitive Monitoring: A New Area of Cognitive–Developmental Inquiry. American Psychologist
- Norman, D. A. (2002). The Design of Everyday Things
- Nielsen, J. (2001). First Rule of Usability: Don’t Listen to Users
メタ認知とは「自分の認知活動を客観的にとらえる、つまり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知すること」です。 自分自身を超越した場所から客観的に見ることに加えて、自分自身をコントロールでき、冷静な判断や行動ができる能力までを含めて、メタ認知能力と呼ばれています。
メタ思考「メタ思考」とは物事(問題)を俯瞰的に(上から見下ろすように客観的に)考えていく思考法