モバイルの誕生に伴い、ユーザーは「〜したい」という要求をすぐに解決しようとする行動を取るようになった。その行動をGoogleが「マイクロモーメント」と提唱した。スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス(以下モバイル)の利用時間は短く、細かく区切られていることが特徴だ。
パソコンを利用している時の行動とは異なり、ユーザーは解決したい課題が生じた瞬間に、モバイルを利用してすぐにニーズを満たそうとする。マイクロモーメントには、主に4つの要望「〜したい」がある。
- 知りたい(I-Want-to-Know Moments)
- 行きたい(I-Want-To-Go Moments)
- したい(I-Want-To-Do Moments)
- 買いたい(I-Want-To-Buy Moments)
4つのマイクロモーメント
知りたい(I-Want-to-Know Moments)
ユーザーが、購入の意思に関係無く有益な情報を探すためにモバイルを利用しようとする瞬間。例えばゲームアプリのテレビCMが気になり、インストールする価値があるのかを判断するためにレビューや攻略方法をインターネットで検索する時。
Googleの調査によるとユーザーが「知りたい」時は下記のような行動をとる
- ユーザーの66%は、TVCMで見たものをモバイルで検索する。
- ユーザーの69%は、欲しい情報が簡単に見つけられるサイトやアプリの方がブランドの製品を購入する可能性が高くなる。
行きたい(I-Want-To-Go Moments)
ユーザーが、近くで営業している店を探そうとしたり、近くの店で商品を購入しようとする瞬間。例えば、休日に顔に湿疹が出てしまい、休日診療をしている皮膚科を探そうと思っている時。特に位置情報を用いた検索方法である「この近くにある○○」は2014年から2015年にかけて利用された回数が2倍に増加した。
Googleの調査によるとユーザーが「行きたい」時は下記のような行動をとる
- ユーザーの71%は、店舗の場所を特定するために位置検索を使用する。
- ユーザーの61%は、位置情報で検索した店舗で商品を購入している。
したい(I-Want-To-DoMoments)
ユーザーが、何かを手に入れたり、新しい方法を試したりしている状態。例えば、工作に興味をもって、自宅の戸棚をカントリー風にリメイクしてみたいと思い、「作ってみた」動画を探している時。
Googleの調査によるとユーザーが「したい」時は下記のような行動をとる
- YouTubeで「方法(やり方や作り方など)」に関する検索数は、2014年から2015年にかけて70%増加した。
- ユーザーの48%は、チュートリアルを用意しているモバイルサイトやアプリから商品を購入する
- モバイルでビデオコンテンツを見るユーザー数は、テレビを見るユーザー数の約2倍である。ユーザーは動画再生中、モバイルに広告として表示されているブランドに親近感を抱きやすい。
買いたい(I-Want-To-BuyMoments)
ユーザーが何かを購入する意思をもってモバイルを利用しようとする瞬間。例えば、時計を購入しようと考えている時に、SNSで見つけたレビューがとても良く、その時計を付けている自分を想像して購入したいと思っている時。ユーザーのコンテキスト(場所や時間、デバイスなど)によって購入したいと感じるタイミングは変わる。
Googleの調査によるとユーザーが「 買いたい」時は下記のような行動をとる
- ユーザーの58%は、モバイルサイトやアプリで手短に購入できる方が購入する可能性が高い
- ユーザーの59%は、モバイルサイトやアプリで手短に購入できる方が企業に対してより好感を抱く傾向にある。
マイクロモーメントは重要なタッチポイント
モバイルは、ほとんどの人が所有している。人々がモバイルを利用する頻度は年々増加し、生活の中で無くてはならない存在になった。
Googleが2015年に実施した調査では、下記の結果が得られた
- 68%以上の人が、朝起きてから15分以内にモバイルを利用する。
- 多い人は1日に約150回モバイルを利用する。
- モバイルからのコンバージョン率は2014年から2015年にかけて29%増加した。
- ブランドを検索する時に利用するデバイスは、PCよりもモバイルが多い。
- モバイルユーザーの90%は、特定のブランドに絞らず検索している。
これらの調査結果から分かることは、自分たちのブランドをユーザーに認知してもらう可能性が一番高いのは、モバイルである。1日に数億人が100回前後モバイルを見るということは、1日に数十~数百億ものマイクロモーメントが発生しているということになる。
その一方で、モバイルを見ている約90%のユーザーは、特定のブランドに絞らず商品を検索している。マイクロモーメントが発生するすべての瞬間に、ブランドを認知してもらい、ファンを作ることがブランド戦略として必要である。