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ペルソナ persona

実在するユーザのデータを元に作り上げられた架空の人物、ユーザが本当に使いたいと感じる製品の実現をサポートするためのツール・手法。

ユーザーの基準を設けて、アプリケーションなどのソフトウェア設計に役立つ手法。Visual Basicを開発者している際に、Alan Cooperアラン・クーパー氏が生み出した。

アラン・クーパー氏

アラン・クーパー氏:wikipediaより引用

ペルソナの目的

  • 製品・サービスの使い勝手・実用性・魅力を高める
  • 製品・サービス開発のプロセスに対するチームの協調性を高める
  • 企業が顧客視点から意思決定を下せる

ペルソナを利用することで、チームメンバーやステークホルダーがユーザ目線で製品・サービスを捉えることができる。また、ペルソナを作成する過程で、考えていたユーザ像がチームメンバーやステークホルダーごとに異なっていることに気づく点も、ペルソナ作成における目的である。

’30代男性’では抽象的で使えない

例えば、男性向けのキュレーションサイトを制作することになった場合、ユーザ像を「30代男性」とする。しかし、この情報だけでは、ユーザの興味関心を抱くコンテンツを制作することはできない。なぜなら、以下のような不明瞭な点が多いためである。

  • 普段どのような生活をしているのか
  • 何に興味があるのか
  • どのような状況でこのサイトに訪れるのか

興味関心や生活行動がクリアになることで、コンテンツ制作にブレがないものができあがる。また、「スポーツが好き」という一見明確な特徴も、チーム内で、サッカーに興味があると考える人もいれば、野球に関心が強いと考える人もいる。チーム内で適切にペルソナを作成することで、このような認識の不一致も解消できる。

ターゲットとペルソナは異なる

マーケティングにおけるターゲットは、デモグラフィックデータ(年齢・性別・居住地・仕事の役職など)を元に、ユーザをセグメンテーションするが、デモグラフィックデータとユーザの行動に因果関係は成り立たない。

クリステンセン教授が著した「ジョブ理論」でも言及されているが、ユーザの行動の起因となるものは、目的(以下、ジョブ)である。そのため、ジョブ別でユーザをセグメンテーションする必要があり、ペルソナはジョブ別のセグメントを代表する架空の人物像とも言えよう。

全てのユーザの代表ではない

ペルソナは、全てのユーザ像を表す存在として捉えてはいけない。ジョブのセグメントが2つ以上あるならば、セグメントごとにペルソナを作成する。

また、ペルソナとして実在の人物を利用してはいけない。実在の人物はそれまでの経験や過ごしてきた環境によって、好みなどの癖が生まれてしまう。そのため、ユーザセグメントの代表として、実在の人物を利用するのではなく、ペルソナを用いるべきである。

ペルソナの具体例

ペルソナ作成にはユーザ情報を収集する。収集方法は、ユーザインタビューやカスタマーセンターに届いた問い合わせ、口コミ情報などだ。

ペルソナの構成要素

  • ペルソナの写真
    人物の写真を利用する。実在するユーザとして捉えやすくなる。イラストは基本NG。
  • 個人情報
    人物像を把握するために、年齢・性別・職業などの人口統計学的データや、性格・趣味などの心理学的データが必要。
  • 発言する言葉:言いそうな言葉
    ユーザの価値観を理解しやすくなるように、ペルソナが言いそうな言葉を記載する。
  • ユーザーストーリー・コンテキスト
    ユーザの利用状況や製品・サービスとの関わり方を理解することで、ユーザのコンテキストを把握する。
  • ゴール
    明確な目的を記載して、製品を利用して達成したい事柄を把握する。また、前述の通りジョブ(=ゴール)別にペルソナを作成すべきである。
恋愛・婚活マッチングサービスのペルソナ作成例

恋愛・婚活マッチングサービスのペルソナ作成例

ペルソナから使用例を生み出してはいけない

作成したペルソナに対して推測でアイデアを追加してはいけない。例えば、SNSサービスを開発するために作成したペルソナの代表的な利用状況が「電車に乗っている暇つぶし」であれば、「カフェに入ってじっくり見る」という推測に基づく利用状況を追加してはいけない。

ペルソナはチームメンバーやステークホルダーが抱くユーザ像を一致させるための存在なので、推測に基づく意見を追加してしまうと本来の目的を達成することができない。

前述した「カフェに入ってじっくり見る」という別の利用状況を追加するのであれば、入念に調査をして多くのデータが収集できた後に別のペルソナを作成するべき。

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現在、システムエンジニアとして自社サービスの企画/開発を行なっています。 ユーザーファーストなサービス開発を心がけたいという思いから、UX DAYS TOKYOのスタッフとして活動を始めました。 最近はリサーチスキルを伸ばすために統計学を勉強している。

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