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練習の冪(べき)乗則 Power Law of Practice

反復練習によるタスクの習熟度合いを表す法則。

何かを練習すればするほど上達するが、その上達ペースはだんだん緩やかになる。この人間のスキル習得における普遍的な法則が「練習のべき乗則」である。この法則を理解することで、ユーザーが新しいアプリや機能に「慣れる」過程を客観的に捉え、より使い続けたくなるようなサービス設計に役立てることができる。

最初は急成長、だんだん緩やかに

練習のべき乗則が示すのは、スキルを身につける過程は一直線ではないということである。最初のうちは少し練習するだけで劇的に作業時間が短くなるが、熟練するにつれて、同じだけ練習しても時間短縮の幅は小さくなっていく。これは、ユーザー体験が固定されたものではなく、使う人の習熟度によって変化し続けることを意味する。初心者がすぐに上達を実感できるか、それとも熟練者がさらに効率を追求できるか、その両方を考える上で重要な視点となる。

心理学研究から生まれた「慣れ」の法則

この法則の考え方は、20世紀初頭の心理学研究にまで遡る。明確な形になったのは、1981年に研究者のAllen Newellアレン・ニューウェルPaul Rosenbloomポール・ローゼンブルームが発表した論文によるものである。彼らは、工場の組み立て作業から文字入力まで、様々な作業において練習回数と作業時間の関係が同じパターンを示すことを発見した。もともとは人間の認知やスキルの研究であったが、コンピューターが普及すると、画面操作にユーザーが慣れていく過程を分析する上で非常に有効な考え方として注目されるようになった。

「慣れやすさ」を客観的な数字で示す

この法則の最大の価値は、「使いやすい」という主観的な感想を、「学習しやすい」という客観的なデータで示せる点にある。新しいデザインが本当にユーザーの成長を助けるものになっているかを、数字に基づいて判断できるのである。これにより、デザインチームは「なんとなくこちらが良い」という感覚的な議論から脱却し、「こちらの案の方が、ユーザーがより早く操作に習熟できる」という明確な根拠を持って意思決定を進めることが可能になる。

操作時間を測って上達度合いを可視化

実際にこの法則を活用するには、ユーザーテストで同じ作業を複数回繰り返してもらう。例えば、新しい機能を使った操作を5回行ってもらい、それぞれの回でかかった時間を記録する。そして、横軸を「回数」、縦軸を「かかった時間」としてグラフに点を打っていく。もし、点がきれいな右肩下がりのカーブを描けば、そのデザインはユーザーが順調に学習できてい証拠である。逆に、時間が短縮されなかったり、途中で時間がかかったりする場合は、学習を妨げる何か(分かりにくいボタンなど)が潜んでいる可能性を示唆している。

アプリ新機能、どちらが早く慣れる?

ある金融アプリで、新しい送金機能のデザイン案AとBのどちらが良いか、この法則を使って検証した事例がある。ユーザーに両方の案で5回ずつ送金作業を試してもらったところ、B案は初回から比較的早く操作できたが、上達の伸びはすぐに頭打ちになった。一方、A案は初回こそB案より時間がかかったものの、回を重ねるごとに劇的に時間が短縮されたのである。このデータから、チームは「A案は、一度理解すればユーザーがどんどん習熟できる、長期的に優れたデザインだ」と判断し、採用を決定した。初期の使いやすさだけでなく、「ユーザーが成長できるか」という視点で客観的な判断ができた好例と言える。

 

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BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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