ユーザ調査ができず取得可能なデータが無く、本来のペルソナが作れない場合の簡易的なペルソナであり、スタートアップなどで利用されることが多い。
ペルソナ作成のために必要な調査・費用や時間が無い場合に利用するための代替手段ではなく、あくまで情報源となる既存のユーザが存在していない場合に、ペルソナの効果を活用するために作成し、基本は本来のペルソナを利用すべきである。
プロトペルソナを利用する目的
ペルソナと同様に、以下のようなユーザに対する共通理解をメンバー間で築くために、「プロトペルソナ」を作成する。
- プロダクトを使用するユーザはどのような人か
- ユーザは何のためにプロダクトを使用するのか
プロトペルソナの特徴
「プロトペルソナ」は、あくまで想像の産物であり、本来のペルソナとは異なり確かなデータに基づいたものではないことを十分に承知の上、利用することが重要である。
チームは「プロトペルソナ」の情報をもとに仮説検証を行い、検証結果から「プロトペルソナ」が適切でないと判断した場合は、情報を追記したり、大幅に書き換える必要がある。
「プロトペルソナ」をペルソナとして本格的に利用する場合は、必ず入念な調査を行う必要がある。
ペルソナの生みの親
Visual Basicの開発者であるAlan Cooper氏らが生み出した。
プロトペルソナの作成方法
「プロトペルソナ」を作成する際は、1枚の紙を4分割して以下の情報を整理する方法が主流である。
- 名前とイメージ
- 言いそうな言葉
- 人口統計学的データや心理学的データ
- ニーズとペインポイント
以上の観点で、ステークホルダーを交えてブレーンストーミングを行う。得られた情報をもとに「プロトペルソナ」を作成し、さらに既知の情報を反映していく。反映した成果物を用いて、メンバー間のユーザに対する共通理解を築く。
フォーマット
① 名前とイメージ |
② 言いそうな言葉 |
③ 人口統計学的データや 心理学的データ |
④ ニーズとペインポイント |
作成例 【恋愛・婚活マッチングサービスの場合】
プロトペルソナ利用の注意点
「プロトペルソナ」は、ペルソナの目的や意味をしっかり理解している人が簡易版として利用することを強く推奨する。
ペルソナの理解が不足している人は「プロトペルソナ」に記載してある内容では不十分であることが理解できず、記載してある内容が正しいと思い込んでしまう可能性が高い。その場合、UXに重要なユーザ視点を欠いた状態でプロジェクトを進めてしまい、ユーザニーズに沿わない製品・サービスを生み出してしまう。
ペルソナで使用するユーザイメージは、イラストではなくリアルな人間の画像を使用するが、「プロトペルソナ」はイラストを採用する場合が多い。ユーザイメージも同様に、本来の利用方法をきちんと理解した上で、イラストを採用すべきである。
上記の理由より、時間と費用をかけずに利用できるからという安直な理由で「プロトペルソナ」を採用しないよう注意する必要がある。