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定性データ Qualitative Data

数値では表せない言葉・感情・印象・行動パターン・動機などの情報で構成される非数値的なデータ

観察・記述・対話・解釈を通じて、物事の意味や背後にある要因を理解するためのデータと位置づけられる。

提唱者

クリフォード・ギアツ

クリフォード・ギアツ

定性データの理論的基盤は、社会学・人類学・心理学の分野に深く根ざしており、明確な一人の提唱者は存在しない。

ただし、クリフォード・ギアツ(Clifford Geertz)による「厚い記述(Thick Description):PDF」の概念は、文化的文脈を踏まえて定性データを深く解釈する代表的アプローチとして知られている。

デザインにおける利用方法と活用シーン

定性データは、UXデザインやコンテンツ設計において、ユーザーの心の動きや使用文脈を理解するための基礎材料となる。

数値では掴めない「なぜそうなるか」「どのように感じたか」といった行動の理由・質的特徴を明らかにする

活用例

シーン 活用方法
インタビュー記録の分析 ユーザーが口にした言葉から「価値観」や「不安」を抽出し、ペルソナの内面を描写する。
カスタマージャーニーマップの作成 感情の起伏や心理的なブレイクポイントを定性データとして記録・反映する。
ユーザビリティテストの観察ログ ユーザーの「ためらい」「迷い」の動作を逐語的に記録し、UIの改善に役立てる。
感情マップの構築 アプリ使用時の「イライラする」「安心する」といった感情表現をベースに改善提案を行う。

代表的なデータ形式

  • ユーザーの発言(自由記述・発話内容)
  • 観察による記述(ジェスチャー、表情、行動のメモ)
  • インタビューや対話から抽出されたストーリーや意味
  • フィールドノート(現場での行動記録)

プロダクトやコンテンツデザインの文脈での意義

定性データは、「共感」や「ストーリーテリング」の核を成す情報である。たとえば、ユーザーが「このアプリは冷たい印象がする」と語った場合、それは単なる見た目ではなく、体験全体の“意味づけに直結している。

こうした声を適切に読み解くことで、UIのトーン、マイクロコピーのニュアンス、ナビゲーションの構成など、多くの設計判断に深みと正当性を与えることができる。

まとめ

定性データは、「ユーザーの行動の背景」や「なぜその選択をしたのか」を解釈し、より良い体験設計につなげるために欠かせない情報資源である。プロダクトの成否を分ける微細な“使い勝手”や“共感性”を見極めるには、定性データの収集・分析が重要である。特に初期設計フェーズ検証前の仮説構築フェーズで、その価値は極めて高い。

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UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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