母集団から無作為にサンプルを抽出し、そのサンプルに基づいて母集団の特性を推定・分析する方法である。
偏りを排除し、代表性を高めることを目的とするため、統計学の基礎的かつ重要な技法である。
提唱者
「ランダム抽出」自体の明確な提唱者は存在しないが、統計学の基礎を築いた ピエール=シモン・ラプラス(Pierre-Simon Laplace, 1749–1827) や、近代統計学を確立した ロナルド・A・フィッシャー(Ronald Aylmer Fisher, 1890–1962) の研究によって発展してきた概念である。
デザインにおける利用方法と事例
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ユーザー調査における代表性の確保
UXリサーチで一部のユーザーだけを意図的に選ぶと偏りが生じる。ランダム抽出を用いることで、年齢・性別・地域などに過度に偏らないサンプルを確保できる。 -
A/Bテストの信頼性向上
特定のユーザー層だけにテストを行うと誤った結論を導く可能性がある。ランダムにユーザーを振り分けることで、より公平な比較が可能となる。 -
データ可視化の信頼性担保
例えば数百万件のログデータを扱う際、全件処理が難しい場合にランダム抽出を行うことで、分析時間を短縮しつつ結果の妥当性を保つことができる。
プロダクト・コンテンツデザインで「使える場面」
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アプリ開発
新機能の利用実態を調べるとき、ランダム抽出したユーザー群で行動を追跡することで、偏りのない利用傾向を把握できる。 -
マーケティング施策
広告効果を検証する際、ランダムに対象顧客を抽出して施策を実施すれば、全体の反応率をより正確に推定できる。 -
従業員体験(EX)デザイン
社員満足度調査において、部署や職位を偏らせずにランダム抽出すれば、組織全体の状況を正確に反映できる。