SLM (小型言語モデル)は、LLM(大規模言語モデル)と比べ、パラメータ数を抑え、計算リソースを小さくしたモデルである。
特定のドメインや用途に焦点を当て、効率性・軽量性を重視して設計される言語モデルである。
制約のある環境、オンデバイス処理、軽量なインタラクション、特定業務用途向けモデルなどに使われることが想定される。
大型モデルをクラウドで呼び出すほど重くなく、レスポンスの速度やコスト、プライバシーの観点で有利である。
起源
SLM という用語を最初に定義した「提唱者」が明確に知られているわけではない。
LLM の普及とともに、「軽量モデル」の必要性が高まり、それを指すために Small Language Model という呼称が業界で使われ始めた。
IBM や Microsoft Azure のような企業が「SLM の定義と利点」を説明している。 IBM+1
ただし、SLM という用語そのものではなく、より古典的には「モデル圧縮」「蒸留モデル(Knowledge Distillation)」などの研究が背景にある。
利用方法
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オンデバイス処理
SLM は端末(スマートフォン・組み込みデバイス等)上で動作しやすいため、ネットワーク不要の応答やインタラクションを実現できる。 -
ドメイン特化対話/チャットボット
特定業務領域(顧客サポート、社内ヘルプ、ドメイン知識に特化したFAQなど)に最適化した対話モデルを軽量に構築できる。 -
補助文書生成/要約
小規模データベース or 社内文書を基に、要約・文書生成をリアルタイムで支援できるモデルを組み込む。 -
UXレスポンス強化
ユーザー操作時に即時的な補助テキストやヒントを表示する場面で、低遅延かつ軽量な応答を提供する。
具体事例
- 社内ヘルプチャットボット:企業内ナレッジを元に、社員がPC上で質問すると即座に回答するチャット機能に SLM を適用。
- モバイルアプリ内アシスタント:オフラインでも動作する文章補助や翻訳支援、入力予測機能を SLM で実現。
- エッジデバイスでの対話型 UI:IoT 装置(家電、ロボット等)に搭載し、軽量な応答を実現。
- コンテンツ要約ウィジェット:ウェブサイトやアプリで記事を入力すると、要約を瞬時に生成して提示する機能を SLM が支える。
関連用語
- LLM
- LLMデザインシステム
- Vertical AI は「業界のプロ」
- Narrow AI は「機能のプロ」
- SLM は「軽くて早い助っ人」