一見正しそうに見える前提からスタートし、積み重ねていくうちに矛盾した結論に導かれる問題である。
ギリシャ語の「ソリテス=”積み重ねたもの”」を意味する。
代表的な例として、砂山のパラドックス(矛盾)がある。
「砂の山」のように連続的に要素を除去・追加しても、何段階目で本質が変わるのか曖昧な場合に生じる論理上のパラドックスである。
砂山のパラドックス
- 砂山から一粒の砂を取り除いても、残りはまだ砂山。
- 砂山から少しずつ砂を取り除いていくと、最後の一粒になっても、砂山であると主張できる。
- しかし、砂山から一粒の砂もない状態、つまり砂山がなくなると主張するのは矛盾する。
砂山がなくなるまでの過程で、どこまでが砂山で、どこからが砂山ではなくなるのかを明確に定義できないことから、このパラドックス(矛盾)が生まれる。
ソリテス・パラドックスの共通点:
- 境界が曖昧な概念(砂山、赤、禿げ、老いなど)を対象とする
- 少量ずつ変化させていくことで、最終的に受け入れがたい結論にたどり着く
- 一見正しそうな前提が、矛盾した結論に繋がってしまう
ソリテス・パラドックスは、以下のような問題や議論で役立つ
- 曖昧な概念の定義の難しさ
- 帰納的推論の限界
- 論理的思考の重要性
提唱者・背景
古代ギリシャの論理学者エウブリデス(Eubulides of Miletus)が最初に提起した。言語や概念の曖昧さに対する古典的問題である。
プロダクトの現場・デザイン上での活用方法と事例
- プロダクト開発:曖昧な内容は明示的に、具体的に示す:会議などで抽象度の高い内容はより具体的な内容や定義をはっきりさせる。
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UX/UIデザイン:曖昧な表現(例:「最近」「最新」など)はユーザー認識にズレを生むため、「更新日時:2025/06/09 14:23」と明示し、不確定さを排除する。
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ナビゲーション設計:「上位」「中位」「下位」などの階層も、基準を曖昧にするとユーザーにとって混乱の元となるため、明確な数値や条件を明示する。
「この場面に使えるかな?」
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シーン:ダッシュボードに「最新のデータ」を表示する場面。
改善例:「最新 = 直近24時間以内」と定義し、更新タイミングや基準を明示して曖昧さを排除。