前提から結論を導き出す論理的な推論方法の一つで、「大前提」「小前提」「結論」の三つの部分から構成される。
大前提で一般的なルールや事実を述べ、小前提で具体的な事例を提示し、結論でそれらを結びつけ、必然的な結論を導き出す。
- 大前提:全ての人間は死ぬ。(普遍的なルール)
- 小前提:ソクラテスは人間である。(具体的な事例)
- 結論:したがって、ソクラテスは死ぬ。(結論)
提唱者と背景
古代ギリシアの哲学者アリストテレスが、紀元前4世紀に彼が三段論法を体系化し、論理学における演繹推論の代表形式として定めた。その後、『オルガノン』で詳細に記述されたことから、中世から近代にかけて広く研究・活用され現代の論理学の基礎となった。
アリストテレス(引用:https://amzn.to/3HvxzZ9)
デザインへの活用方法と具体的事例
1. 説得力あるUX提案書の構成
方法:大前提として「すべてのユーザーは直感的に操作したい」、小前提として「このUIは直感的である」、結論として「このUIはすべてのユーザーに適している」と構造化する。
効果:論理が整理され、説得力のある提案になる。
2. チーム内での仕様合意プロセス
方法:「高負荷時に反応を速くしたい(大前提)」→「キャッシュを導入すればレスポンス改善が期待できる(小前提)」→「よってキャッシュ導入は有効である」という論理構成で意思決定を促す。
効果:技術的判断が透明化され、チーム全体に納得感を生む。
3. コンテンツ設計とメッセージング
方法:「読者は簡潔なコンテンツを好む(大前提)」→「記事は長くなりすぎている(小前提)」→「だから記事の分割が有効である」と結論づける構造を用いる。
効果:編集方針に論理的根拠が追加され、関係者の理解が得やすくなる。
シーンと具体的事例
新しい管理機能の導入を検討するミーティング
- 実用例
- 大前提:「管理画面はユーザーにとってわかりやすくあるべきである」
- 小前提:「新UIデザインはユーザーテストで理解率が95%に達した」
- 結論:「したがって、新UIデザインの導入によって管理画面の使いやすさが改善される」
成果:関係者間で共通理解と納得を得るとともに、意思決定が論理的・合理的な解釈とともに進む。
デザイン観点におけるチェックポイント
項目 | 内容 |
---|---|
前提の妥当性 | 大前提・小前提が正確であるか検証する。 |
妥当な演繹 | 前提から結論までの筋道が飛躍していないか確認する。 |
応用範囲の再現性 | 他ケースにも論理が適用できるかを確認する。 |
関連用語
まとめ
三段論法は、論理的整合性に基づく説得や合意形成に極めて有効なツールで法曹界で特に利用される。
デザイン文書、仕様書、プレゼンテーションなどに組み込むことで、理由ある説得力が結果にもたらされるである。