価格がゼロになると損失回避バイアスやコスト計算が働かず、意思決定が非合理に歪むことが原因である。
例:100円でチョコを買うよりも、「普段300円のチョコが無料」と提示される方が強い魅力を持つ。
提唱者
「無料の力」という概念を体系的に紹介したのは、行動経済学者 ダン・アリエリー(Dan Ariely) である。
著書『予想どおりに不合理(Predictably Irrational, 2008)』で、人が「無料」に非合理的なまでに惹かれるメカニズムを解説した。
デザイン上に関わる利用方法と具体的事例
「無料」という要素は、UI/UXデザインやプロダクト設計でユーザー行動を強力に促すために活用される。
アプリ・SaaS
- 「無料トライアル」や「初月無料」は、導入の心理的ハードルを大きく下げる。
- Spotify や Netflix はこの効果を最大限活用してユーザー獲得を拡大した。
Eコマース
- 「送料無料」の条件は、送料100円割引よりも圧倒的に強い効果を持つ。
- Amazon のプライム配送は代表例である。
ゲームデザイン
- 「無料ガチャ」や「ログインボーナス」は継続率を高める仕組みとして利用される。
プロダクトやコンテンツデザインの観点で「使える場面」
- サブスクリプション導入:「初回無料」や「お試し無料」でUX体験を促す。
- マイクロトランザクション:ゲームやアプリ内で「無料アイテム」を与えることで、課金への心理的ハードルを下げる。
- 行動促進:健康アプリで「無料クーポン」「無料診断」を提示すると、利用開始率が上がる。